大塚商会、2019年度上期の連結業績は過去最高に

大河原克行

2019-08-02 06:00

 大塚商会は8月1日、2019年度上期(2019年1~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比15.5%増の4501億円、営業利益は24.7%増の338億円、経常利益は24.6%増の347億円、当期純利益は25.2%増の235億円となった。併せて2019年度通期の業績見通しを上方修正し、売上高を370億円増(前年比10.5%増)の8400億円、営業利益が54億円増(同16.1%増)の558億円、経常利益が58億円増(同15.7%増)の570億円、当期純利益を42億円増(同14.4%増)の384億円としている。

業績を発表した大塚裕司社長
業績を発表した大塚裕司社長

 大塚裕司社長は、「上期の業績は計画値を大幅に上回る達成で過去最高となり、第2四半期(2019年4~6月)でも過去最高だった。期中の上方修正はWindows XP特需があった2014年以来で、5年ぶり。PCが増えると粗利が下がるが、SI(システムインテグレーション)事業の成長が高く、ここでの収益が伸びている。全業種で販売増になり、5月の10連休があった中でも業績は順調だった。しかし複合機の販売台数や保守の売り上げが落ちている」などと総括、「2019年度は10期連続の増収増益、増配を目指す。さらに、2020年度以降も増収増益を続けていきたい」と述べた。

 セグメント別の連結売上高は、SI事業が前年同期比23.1%増の2979億円、サービス&サポート事業が2.9%増の1521億円だった。複写機の販売台数は、前年同期比4.9%減の2万21286台で、そのうちカラー複写機が4.9%減の2万1458台となっている。サーバーは1.9%増の1万6734台、PCは55.2%増の87万1683台、タブレットを含むクライアントの合計は53.0%増の89万4730台だった。

 大塚氏は、「Windows 7からWindows 10への置き換えは、これから中堅、中小企業に拡大していく。既にラージアカウントよりも中堅・中小企業での伸張率の方が高い。インテルのCPUの供給不足は回復しつつあるが、大型案件が入ると納品が遅れる可能性がある。安定調達のためにメーカー各社と協力関係を強化していきたい。Windows XP特需の際は、機器を納めてネットワークの設定をするだけで終わってしまったが、(Windows 7の移行では)時間的に少し余力があり、2020年3月ごろまで置き換え需要が続くだろう。ソリューション型の提案や働き方改革の提案などによって、ニーズをしっかりと獲得していきたい」とした。

2019年度上期の連結業績の概況
2019年度上期の連結業績の概況

 また、大塚商会単体での業績は、売上高が前年同期比15.3%増の4073億円、営業利益は26.4%増の304億円、経常利益は25.9%増の319億円、当期純利益は26.2%増の221億円となった。そのうち、重点戦略事業に位置付ける「たのめーる」の売上高は前年同期比3.0%増の827億円、オリジナル統合業務ソフト製品の「SMILE」は10.6%増の71億円、ナレッジマネジメントシステムの「ODS21」が0.5%減の313億円、セキュリティビジネスの「OSM」が5.9%増の390億円だった。

 20周年を迎えるたのめーるは、158万7455口座に達している。「第2四半期は10連休があったが、第1四半期よりも売上げが伸びていることは自己評価している」(大塚氏)とした。ASP(クラウドを含む)は半年間で13万人増加し、251万人が利用する。サプライと保守契約を含むストックビジネスの売上高は1446億円で、構成比は35.5%と減少した。

 大塚商会単体のSI事業の売上高は前年同期比24.1%増の2565億円、サービス&サポート事業が3.0%増の1508億円となっている。SI事業のうち、SI関連商品の売上高は25.1%増の2292億円、受託ソフトなどが16.7%増の272億円。サービス&サポート事業ではサプライが2.8%増の772億円、保守などが3.2%増の735億円となった。

 正社員は2019年6月時点で9027人と、同社としては初めて9000人を突破、前年比165人増で過去最高となり、1人当たりの売上高も4986万円と、過去最高になった。

 2019年下期の方針について大塚氏は、「お客さまの目線でソリューションを活かし、信頼に応える」という年初からのスローガンを踏襲すると説明、「地域営業部主体の運営をさらに深化」「オフィスまるごと大塚商会」「AI(人工知能)を自社で活用、お客さまへ提供」「オフィスの2020年問題へのソリューション提案強化」――の4点を掲げる。

 「米中貿易摩擦などの影響もあるが国内景気は緩やかな回復が続く。IT投資は旺盛で、生産性向上やコスト削減ニーズ、人手不足に対する省人化ニーズもある。AIやIoTに関する市場ニーズも手堅い。オフィスの2020年問題への対応も重要だ。顧客に応じて最適な提案を進めていく必要がある。一つの製品の商談で信頼性を高めるだけではなく、複数の製品を複合的に提案していくことが大切。オフィス丸ごと提案ができる会社は世界的に珍しい。われわれは常時28万社と取引しているが、67%が単品取引だ。ソリューション型へとシフトし、これらの企業にアプローチし、丸ごと提案する施策を徹底したい。購入する商品を一つ増やしてもらうだけで大きな成長につながる。大塚商会には、それだけのパークがあるということ。今年は『オフィスまるごと』にこだわりたい」(大塚氏)

「オフィスまるごと」提案のイメージ
「オフィスまるごと」提案のイメージ

 なお、「オフィスの2020年問題」とは、2019~2020年に発生するオフィスの課題を指しており、働き方改革関連法の施行、元号の変更、消費増税、Windows 7などのサポート終了(EOS)、東京五輪に向けたサイバー攻撃への対応、政府が推進する企業のBCP策定、蛍光灯や水銀灯の生産終了などを指す。

 大塚氏は、「お客さまには、これから多くのイベントとたくさんの『困った』が発生する。2019年4月以降は、働き方改革に向けた取り組みが中小企業でも加速し始めている。Windows XPのEOS時は、その後に市場規模が6掛けになったが、(今は)働き方改革への提案や東京五輪需要など、Windows 7のEOSでもクライアントPCの提案は可能で、Windows XPのEOS後のようにはならない」と予測した。

 なお、2019年度通期のセグメント別での売上高見込みは、SI事業が前年比14.7%増の5315億円、サービス&サポート事業が4.0%増の3084億円としている。

 また大塚氏は、同社では2019年4月から「名刺管理システム」を稼働させたことも明らかにした。2800人の営業担当者が顧客の名刺を写真撮影し、外出先から送信すればシステムに仮登録されるというもの。登録工数を削減しながら、顧客の個人情報を整備していくことになるという。現在は113万社が登録されている。「大塚商会の社内用システムとして開発したもので、今後は社外への販売を行いたい」(大塚氏)とした。

内製した名刺管理システムの外販化も目指すという
内製した名刺管理システムの外販化も目指すという

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