AMDは2年前、停滞の続くデータセンター市場に再進出し、大成功を収めた。同社の「EPYC」プロセッサーシリーズはサーバー市場を変革し、大いに必要とされていた競争力をIntelにもたらした。
AMDは米国時間8月7日、第2世代となる「EPYC 7002」シリーズ(開発コード名「Rome」)のプロセッサーをリリースし、データセンター戦略における次の一歩を踏み出した。EPYC 7002 Seriesは、世界初の7ナノメートル(nm)プロセスで製造されたサーバー用プロセッサーで、AMDにとっては大きな節目であり、10nmチップの製造に苦戦してきたIntelにとっては、大きな打撃となる。
AMDでDatacenter Solutions Groupのゼネラルマネージャーを務めるScott Aylor氏によると、EPYC 7002のリリースは、AMDと業界にとって転換点だという。
「われわれは首位を目指す」と、Aylor氏は米ZDNetに語った。
第1世代のEPYCチップによって、AMDのシェアは1桁代半ばまで上昇したが、Intelはまだ市場を圧倒的に支配している。Aylor氏によれば、第2世代のEPYCチップのリリースにより、AMDは性能やアーキテクチャー、セキュリティの面で首位に立つという。
「第2世代EPYCはまさにデータセンターの新たな標準を作ろうとしている」(同氏)
AMDは新しいプロセッサーのリリースに際し、大口顧客も獲得した。例えばGoogleは、社内インフラとして使われる本番のデータセンター環境で第2世代のEPYCチップを採用したことを発表した。2019年後半には、「Google Compute Engine」でこのプロセッサーを搭載する新しい汎用マシンをサポートする予定だ。
既に報じられているように、第2世代のEPYCプロセッサーは、7nmプロセスで製造されるチップレット最大8個と14nmプロセスで製造されるI/Oダイを組み合わせており、最大64のZen 2コアを搭載する。第1世代のEPYCチップと比べて、1ソケット当たりの性能は2倍、浮動小数点演算性能は最大で4倍になる。
EPYC 7002シリーズは、「大規模かつデータの急増に対応できるワークロード」で、競合製品の性能を80~100%上回ると、Aylor氏は語る。
この業界では1世代経るごとに性能が10~20%ほど向上するのが一般的であることを考えると、これはすばらしい快挙だという。
「性能を2倍にし、ライバルに対してそれだけの水準のリードを保っていければ、世代を重ねるごとに性能は加速度的に向上する。顧客やパートナーが興奮を抑えられない理由は想像がつくだろう」(Aylor氏)
EPYC Romeプロセッサーは、レーン数128の初めてのPCIe 4.0対応x86サーバーCPUだ。8つのメモリーチャンネルと、「妥協のない」シングルソケットのサポートが特徴で、部品数がわずか19の比較的単純なプロセッサースタックを誇る。安全なメモリー暗号化と暗号化された安全な仮想化の機能を備えている。
AMDは第1世代のEPYCプロセッサーから、堅調に市場にチップを投入している。2017年に発表されて以来、60を超えるEPYCサーバープラットフォームが存在し、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Baidu、Tencent Cloudをはじめとする大手クラウドサービスプロバイダーが50を超えるEPYCを利用するクラウド製品を提供しているという。
Dell Technologiesは7日、第2世代のEPYCプロセッサー向けに最適化された新しいサーバーなどの「PowerEdge」サーバーの広範なポートフォリオを提供していくと述べた。
AMDの確かなパートナーであるHewlett Packard Enterprise(HPE)は、今後1年半でEPYC搭載製品の数を3倍にする計画だとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。