マイクロソフト、「Azure Stack」の「Project Saturn」が進行中?

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2019-09-20 11:03

 2019年に入って以来、Microsoftの関係者が同社のハイブリッドコンピューティングプラットフォーム「Azure Stack」について、言葉少なになっていることに気づいているのは、筆者だけではないはずだ。「ハイブリッド」がMicrosoftのクラウド分野における重要資産だと同社幹部が頻繁に述べていることから、同社がAzure Stackをフェーズアウトしようとしているわけではないと筆者は考えている。単にマーケティングの優先順位が変わったという以外の理由があると筆者はみている。

Microsoft
提供:Microsoft

 Microsoftは、Azure Stackの大規模な再設計に取り組んでいるようだ。筆者への情報提供者らによると、Azure Stackのベースとなるインフラを作り直す取り組みには、「Project Saturn」という開発コード名が付けられている。最終的には、Azure Stackインフラのコンポーネント化を進め、シンプルにすることを目指しているという。

 Azure Stackは、Microsoftのプライベート/ハイブリッドクラウドサービスだ。同社はAzure StackをAzureの「拡張機能」とも呼んでいるが、Azure StackはユーザーがAzureサービスを自社やパートナー企業のデータセンターで運用できるようにする。

 Azure Stackも「Windows」同様、さらにモジュール化できる余地がある。Microsoftが、Azure Stackの主要部分をインフラと切り離して提供しようと取り組んでいるのはそのためだ。Microsoftは当初、Azure Stackをユーザーの既存のハードウエアなどで運用することも想定していたが、DellやLenovo、Hewlett-Packard Enterprise(HPE)、Ciscoなどのパートナー企業のサーバーに組み込んだ形でリリースした。

 筆者は、Microsoftの求人情報の1つに、同社の計画変更を示唆する職務内容があるのを見つけた。「当社が、Azure Stackはアプライアンスであるという顧客への約束を実現するとともに、シンプルになったコンテナベースのインフラへの移行を進める」なか、「Azure Stackインフラコンポーネントが進化する」手助けをすると記されている。

 筆者が得た情報から判断すると、Azure Stackを新しくするという取り組みは始まったばかりのようだ。しかし、それが実現すれば、Microsoftは少なくとも理論上、Azure StackとさまざまなAzureサービス、そしてAzureのプログラミングインタフェースをどこでも実行できることになる。

 Azureのロードマップによると、2018年11月~2019年9月まで、Azure Stackへの機能の追加はない。

 Microsoftは3月、ハイパーコンバージドインフラで仮想化アプリケーションを実行できる「Azure Stack HCI」を発表している。同社は、Azure StackをAzure HCIで置き換える計画はなく、2つは異なるユースケースのある異なる製品のようだ。

 Microsoftは、Azure Stackを「インテリジェントエッジ」を強化する製品として売り込もうとしているようだ。インテリジェントエッジ製品には、「Azure Data Box Edge」「Azure Sphere」などがある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    量子コンピューターの実用化がもたらす脅威とは?既存の暗号資産を守る“4つのステップ”を徹底解説

  2. セキュリティ

    攻撃者がクラウドを標的にする仕組みとは? CrowdStrikeのレポートから考察する

  3. 経営

    「作って終わり」のマニュアルを「活用される」マニュアルにするためには?

  4. セキュリティ

    脱「PPAP」で考える、重要なファイルを安全に送付・共有する最適解とは?

  5. コミュニケーション

    Slack 導入事例集 2023:伊藤忠テクノソリューションズはいかに営業チームを1つにまとめたのか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]