どういうことか。NTT Com側から今回の動きを捉えると、現在SaaSとして非常に注目されているTeamsに独自の付加価値を施して、日本マイクロソフトとの連携拡大を図ったというものだ。
日本マイクロソフトにとっても今回の動きは“渡りに船”だ。もともとOffice 365には強い商品力があるが、Teamsはそれをさらに後押しする決定版としてMicrosoftが投入した、まさしく戦略商品である。その意味では、NTT Comは心強いパートナーといえる。
だが実は、NTT ComはGoogleとも同様の連携を行っている。Googleのクラウドプラットフォーム「Google Cloud Platform」とEnterprise Cloudの連携、そしてGoogleのSaaS「G Suite」に独自の付加価値を施している。
とりわけ、SaaSについてはTeamsを含めたOffice 365やG Suiteといった有力なサービスに独自の付加価値を施すことで、競合他社と差別化を図ろうという戦略だ。とするとNTT Comは今後、日本マイクロソフトやGoogleとの連携は一層深化させるとともに、他の有力なSaaSとの連携も増えてくるのではないか。そうした提携のニュースが相次ぐかもしれない。
クラウド事業を始めた当初のNTT Comは、パブリッククラウドサービスでAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleといったメガクラウドベンダーに対抗していたが、戦略転換を図ってホステッドプライベートクラウドサービスを中心としたEnterprise Cloudを主力にするとともに、メガクラウドベンダーとは上記のように連携を図ってきた。ハイブリッドクラウドおよびマルチクラウドの普及を見越したNTT Comならではのしたたかな戦略といえよう。