近年、動画は職場における一般的なコミュニケーションの手段になっている。質の高いビデオ会議ツールが数多く存在し、複数の拠点に点在する従業員に対して経営陣がタウンホールミーティング式の会議を配信できるツールもある。IBM Watson Mediaがリリースした最新のアプリケーションは、こうした流れをさらに一歩進め、モバイルでライブストリーミングできるセキュアでエンタープライズレディなプラットフォームを提供する。
新しいモバイルアプリケーション「IBM Video Streaming」では、エンタープライズユーザーが1対多のライブ動画を配信できる。また、人工知能(AI)を利用した自動のクローズドキャプションなど、エンタープライズ向けの機能を提供する。管理者はこのクローズドキャプションを、明確に、あるいは文脈に合わせて編集できる。配信後には、自動生成された高度なメタデータを、検索やコンテンツのインデックス化に利用できる。
企業は、読み込みや文字起こし、保存、配信、アクセスなど、動画コンテンツを思いどおりに管理できる。管理者は従業員ごとに個別のアクセス権を付与し、情報の安全性を保つことが可能だ。また、通常であれば専門の制作チームを必要とするような質の高い配信も実現するとIBMは説明している。このモバイルアプリケーションは、「iOS」と「Android」で利用できる。
IBM Watson Mediaで製品および開発担当のバイスプレジデントを務めるDavid Mowrey氏は米ZDNetに対し、一般ユーザー向けのライブストリーミングアプリは数多くあるが、エンタープライズ向けに適したツールキットが提供されていないと説明した。
IBM Video Streamingによって、規模に関わらずライブストリーミングが可能になる。最高経営責任者(CEO)が現場から数百万人のパートナーや顧客にメッセージを伝えることもできれば、マネージャーが顧客とのミーティングを終えたあとで15人体制のチームに向けて配信することもできる。
ほぼすべての業界で、中規模以上の企業では動画が職場のツールとして利用されるようになると予想されている。Mowrey氏は、「フルサービスのストリーミングを利用していない企業は多い。IBM Video Streamingは、配信ツールのハードルを下げ、iOS端末やAndroid端末で誰もがこのような機能を利用できるようにする」と述べた。
このアプリケーションは、IBM Watson Mediaの「Enterprise Video Streaming」ソリューションを補完するものだ。Enterprise Video Streamingは、デスクトップPCやノートPCを使って世界中の従業員を結びつけるライブストリーミング、オンデマンドストリーミングのプラットフォームだ。世界のさまざまな地域、あらゆる業界で顧客に利用されているとMowrey氏は述べた。Rodan + Fields、Herman Miller、NVIDIAなどが利用しているという。
IBMは数年前、複数の買収(主にライブストリーミング企業Ustreamの買収)を軸にして、Watson Media事業を構築した。Watson Mediaは、メディア業界やエンターテインメント業界、エンタープライズなどをターゲットとして、ライブストリーミングツールやAIによる動画アナリティクス機能を提供している。
Mowrey氏は、「動画を利用してエンタープライズ顧客層がコラボレーションや配信を実現するだけでなく、マネタイズの効率化や社内の問題解決ができるようにしようと考えている」とし、「その多くは、企業が保有する動画コンテンツや制作した動画コンテンツを理解し、より便利なものにするということだ」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。