東京証券取引所(東証)と富士通は11月5日、東証の株式売買システム「arrowhead」を4年ぶりに全面刷新したことを発表した。取引処理などのさらなる高速化が図られている。
arrowheadは2010年から運用されている。今回の刷新では、高速性と高信頼性を両立した従来のシステムをベースに、利便性の向上を狙いとしたという。例えば、大引け(後場の最後の売買)に限って更新値幅を2倍に拡大し、売買ニーズが高い引けにおいて終値での約定が成立しやすくなったという。
また、急激な株価の変動を抑止するために東証が導入している、価格の急変動を周知する「連続約定気配」では、2015年9月の更改時に小口注文が殺到して連続的に約定が発生する場合にも表示するように改良されたが、今回のシステム公開では、基点となる約定から60秒が経過するまでの間について、一定の値幅(気配の更新値幅の2倍)を超過して値動きしないよう改良したとしている。
処理性能もさらに向上しており、注文応答時間については従来の0.3ミリ秒が0.2ミリ秒に、情報配信時間も1ミリ秒から0.5ミリ秒にそれぞれ高速化された。この他に、arrowheadと接続する取引システムの開発テストを原則として全営業日の早朝と夜間にも行えるようになった。
新システムは、富士通製の「FUJITSU Server PRIMERGY RX2540 M4」400台やインメモリーデータ管理ソフトウェア「FUJITSU Software Primesoft Server」などで構成されている。
システム公開による売買制度の改善効果(出典:東京証券取引所)