EL8000は、動作温度が0~55度なため、データセンターのような空調がない状況での稼働できると北本氏。耐衝撃性および耐振動性を持ち、通信機器向け規格「NEBS Level 3」に準拠する。また、管理機構「HPE iLO 5」によるセキュリティとリモート管理を実現している。
下の図は、ProLiant e910 1U Server Bladeを2機、ProLiant e910 2U Server Bladeを1機搭載した構成例となる。

GPUは、「NVIDIA Tesla T4」などが選択可能。また、製造後に内部の論理回路を構成できるFPGAとして「Intel FPGA PAC N3000」などが近日発売予定となっており、ネットワークのアクセラレーターとして使われる。
一番下の1Uは、共有部として、1500W冗長電源、iLO 5リモート管理ユニットを搭載可能となっている。
空気の流れが逆方向となるファンもオプションとして発売予定となっている。これにより、EL8000を後部同士が向かい合うようにし、ラックの両側からアクセスできるよう設置することが可能。5Uで奥行きが92cmある19インチラックでは、4つのEL8000を搭載することが可能で、最大16基のCPU(384コア)という高集約の配置を実現できる。
EL8000の税別希望小売価格は、ProLiant e910 1U Server Bladeを1基搭載した場合で214万7000円から。11月26日から販売を開始した。
EL8000の用途としては、5Gを使ったクラウドが考えられている。

五十嵐毅氏
現在、エンタープライズネットワークにおいてはWi-Fiや有線ネットワークが主に使われているが、5Gが注目を集めている。5Gにより超高速、低遅延、多数同時接続な通信が可能となることで、新しいクラウドが考えられるようになる、とHPEの執行役員でハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏は述べる。
その1つとしては、通信事業者による5Gのエッジクラウドがある。「データを動かし過ぎると、費用がかかる、電気がかかる、時間がかかる、手間がかかる。できれば地産地消でデータをなるべく処理して、必要なデータだけ動かす。現地で処理できるものは、処理してしまおうというところだと思う」と五十嵐氏は述べ、「基地局で5Gを提供しながら、データセンターのような機能も持たすことができるのでは。そこで、”5Gクラウド”という考え方が出てくる」と説明。
たとえば、小売店が試着用の拡張現実(AR)や仮想現実(VR)技術を導入した場合、店内にワークステーションを設置するのがパフォーマンス的にベストだ。だが、AR/VRといった大容量のデータを既存の通信方法でクラウドに送ると、反応が悪くなったり、回線料金が高額になったりする。一方、5Gクラウドでは、5Gで通信して基地局などでAR/VRの機能を提供するため、これらの問題が解決される。
このような考え方はHPEだけのものではなく、通信事業者でも同様のコンセプトをすでに持っていると北本氏は述べ、同社としては、そこに対してスタンダードなプラットフォームを提供することがここでのポイントとなると付け加えた。