インフォアジャパンは12月5日、ワタミがマルチテナント型クラウドERP「Infor CloudSuite Food&Beverage」を導入し、国内拠点で稼働を開始したことを発表した。
ワタミグループでは、独自の再生可能エネルギーを活用した循環型6次産業モデルを実践しており、現在は収益体制の強化を図る「マーチャンダイジング(MD)改革」に取り組んでいる。MD改革の中核を成すのが、リアルタイムでデータドリブンな経営判断を下すための「サプライチェーン管理プラットフォームの再構築」となる。
そこでワタミは、食品・飲料業界に特化したマルチテナント型クラウドERP(統合基幹業務システム)のInfor CloudSuite Food&Beverageを導入。2019年10月時点で、Infor CloudSuite Food&Beverageによるクラウドベースのサプライチェーン管理システムの稼働を国内3拠点で開始しており、2020年2月までに国内の外食・宅食事業を担う11の食品工場に展開する計画だ。
Infor CloudSuite Food&Beverageの導入に当たり、一物複数コードであった品目番号を全社統一し、一階層だったレシピ(BOM)を工程に応じて多階層化することで、生産管理における業務プロセスとデータ定義を標準化した。これにより、高度な原価計算や生産計画を実現するための、データドリブン経営の土台が構築できたという。
同社は、ERPの導入により標準化された生産管理の情報を可視化するため、インフォアのクラウドBI(ビジネスインテリジェンス)基盤「Birst」も採用している。Birstは、Infor CloudSuite Food&Beverageを始め外部のデータも組織や拠点を超えて連携させ、業務に必要な情報を自動集約したダッシュボードを生成するBIツール。これにより、製造拠点を横断した原価管理や販売実績に基づく食品ロスをダッシュボードで管理が可能になった。また、判断基準や判断後の行動をユーザーストーリーとして明文化し、経営陣の一人ひとりに最適化されたBirstでドリルアクロスなBIダッシュボードを構築することで、ビジネスミッションに沿ったインサイトがリアルタイムで得られるようになるという。
ワタミでは今後、Infor CloudSuite Food&Beverageの拡張性の高さを生かし、会計管理への利用拡大や店舗管理や業績管理などの機能を追加し、海外拠点でも同様の取り組みを拡げる予定だ。業務標準化とビジネス情報の統合による可視化を継続して進め、MD改革を実現する経営基盤を確立していくとしている。