キヤノンITS、貿易業務管理システムを提供--輸出入業務を効率化

大場みのり (編集部)

2019-12-11 10:00

 キヤノンITソリューションズ(キヤノン ITS)は12月11日、「NACCS」を利用する輸出入者向けに貿易業務管理システム「TradeWise」の提供を開始した。NACCSとは、輸出入における行政機関への手続きなどをオンラインで処理する官民共同システム。TradeWiseは、貿易に関わる行政機関や荷主企業、通関業者、貨物利用運送事業者などでやりとりされる情報の一元管理・共有を行う。オンプレミス版の税別価格は、500万円から。

 財務省・税関や輸出入関係省庁は近年、国際物流における通関手続きの簡素化・迅速化に向けて、NACCSを中心とした貿易関連手続き全般の電子化・ペーパーレス化を推進している。これまで貿易関連手続きは紙の書類を使った業務が多く、データ入力も手作業で行っていた。そのため、誤入力による手戻りやタイムロスが発生する場合があったという。また貿易取引に関する情報は複数の関係企業や拠点にまたがるため、各部門での部分最適管理になることが多く、全社の情報を共有・把握することが困難だった。こういった業務の効率化や情報の一元管理を目的とした貿易業務のシステム化へのニーズが高まる一方、輸出入者がNACCSと接続するには個別のシステム開発を行う必要があり、多くの費用と時間がかかることが課題となっている。キヤノンITSはこの課題を解決するため、TradeWiseの提供に至ったと説明する。

TradeWiseの概要図(出典:キヤノンITS) TradeWiseの概要図(出典:キヤノンITS)
※クリックすると拡大画像が見られます

 TradeWiseはNACCSと自社基幹システム間を連携させるとともに、貿易業務を管理するための6つの基本機能パッケージ化したシステム。個別システム開発に比べて低コスト・短期間でシステムを構築することができる。また貿易管理業務で発生する受け渡しや、通関をはじめとする各種情報を「通関データベース」に蓄積して、複数の関係企業や拠点にまたがる取引情報を一元管理。これにより、貿易に関する情報を全社レベルで可視化し、企業ガバナンスの強化やコンプライアンスの確保を実現する。なおTradeWiseはオンプレミスだけでなく、キヤノンITSが提供するクラウドサービス「SOLTAGE」での提供も可能。SOLTAGEでは、同社が所有する西東京データセンターにクラウドサービス専用システムを構築している。仮想サーバー/インターネット接続回線/ファイアウォール/ネットワーク機器をセットにして提供する。パブリッククラウド・プライベートクラウドの両方で利用することが可能だとしている。

 6つの基本機能は以下の通りだ。

  1. 通関データベース:受け渡し、通関に関する情報を蓄積するデータベースシステム
  2. 貿易文書作成(輸出):輸出貿易文書の作成機能と通関情報をNACCSに連携する
  3. 貿易文書作成(輸入):輸入貿易文書の作成機能と通関情報をNACCSに連携する
  4. 担保照会:担保残高の即時照会、推移の可視化、アラートメールの送信を行う
  5. 関税割当:関税割当品目の残数管理業務に関する機能を提供する
  6. 包括保険:損害保険会社により登録された包括保険を輸入者が承認できるようにする

 キヤノンITSは、貿易EDI (電子データ交換)基盤システム「EDI-Master DEX for Trade」を提供しており、パッケージ販売の他、システム構築から導入・運用支援に多くの実績があるという。今後はTradeWiseを商社や製造業など、貿易取引のある大手企業を中心に拡販し、貿易EDIソリューション事業で 2025 年までに年間売上高 5 億円を目指すとしている。

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