障害時の懸念からクラウドは選択せず、部門ごとのシステムをHCIで統合

藤代格 (編集部)

2019-12-18 07:00

 300床以上のベッドを持ち、大阪府唯一の民間災害拠点病院となる多根総合病院(大阪市西区)は、24時間365日止まらない環境を求め「Nutanix Enterprise Cloud OS」を中核とするハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)環境を導入、安定稼働できる体制を整えたという。12月12日、国内提供を担うニュータニックス・ジャパン(ニュータニックス、千代田区)が発表した。

 手術施設のほか高精度放射線治療センター、眼科専門病院、はたまた訪問看護、介護老人福祉施設などを運営。超高齢社会に備えたヘルスケアサービスを総合的に提供しつつ、緊急搬送の年間受け入れは8500を超えるという。地域における急性期病院としても中心的な役割を担うと説明している。

 診療科ごとに専門機器が必要となる医療業界では、医療機器と管理のためのサーバーを同時に導入することが多いという。耐久年数が異なることが多く、有効期間やサポート契約、OSにずれが発生。全体のアップグレードや拡張時などは横断的な計画、調整が必要な反面、部門ごとでのメンテナンス、サポート、バックアップも必要で、重複作業となっていたという。

 安定稼働を優先しつつも、技術的な不具合、アップグレードなどによる計画外のシステム停止、致命的な結果を引き起こす可能性もあったとしている。

 同時に、院内では現場の情報やデータの有効活用を目指す機運が発生。分散環境でできる部署ごとでの日常業務管理に限らず、戦略的企画立案へのデータ活用ニーズが増加していたという。

 更改時も含めて停止せずに、情報を一箇所に集約、管理、システム全体から洞察できる環境を目指したとしている。

 インフラが止まった際の対応やコストに懸念があるパブリッククラウドを避け、ハイパーバイザー「Nutanix Acropolis Hypervisor」と管理ツール「Nutanix Prism」をシンプルな一つのプラットフォームで運用できるEnterprise Cloud OSを導入。HCI「Nutanix NX」シリーズを活用。多根総合病院を運営する社会医療法人きつこう会は、同院のほか、2つの病院の業務基盤を統合したという。

 救急医療記録 (EMR)を取り扱うオーダリングシステムをはじめ、看護業務支援、分析用のデータウェアハウス(DWH)、診断、会計などの各種待受表示、麻酔記録、感染管理、勤怠管理、臨床、病理検査システムなど、あらゆる業務基盤がサービス中断なく安定稼働。仮想化で物理サーバー数を削減し、エネルギー消費量、環境負荷も低減しているという。

 管理業務削減にもつながり、生産性と効率性が向上。必要に応じて増設できるライセンスモデルのため、予算に合わせたタイミングで拡張できることも大きいとしている。現行システムの保守切れにあわせ、ほかの病院にも導入する計画だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

マイナンバーカードの利用状況を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]