ふくおかFGと北國銀行に見る地銀のチャレンジ
ふくおかフィナンシャルグループ(以下、ふくおかFG)、そして北國銀行と、このところ勘定系システムをパブリッククラウド上に展開するという発表が相次いだ。
福岡銀行など九州地域の4銀行を傘下に持つふくおかFGは、2020年度に創業予定のインターネット専業銀行「みんなの銀行」の勘定系システムの構築基盤に「Google Cloud Platform(GCP)」を採用すると決めた。
その理由について、「拡張性に優れたGCP上に勘定系システムを構築することで、システム運用コストの最適化を図るとともに、金融機能ごとにサービスを切り出すマイクロサービスの稼働にも適していることから、柔軟かつ迅速な商品、サービスの開発、提供が可能になる」としている。
一方、北國銀行は日本ユニシスのオープン勘定系システム「BankVision」の稼働基盤として、日本マイクロソフトのパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の採用を決定した。3社は2021年の「BankVision on Azure」稼働に向けて、導入プロジェクトを開始した。
同行によると、さらなる経営の効率化や自行での開発スキル向上、フレキシブルな環境変更、データ活用基盤などの実現のため、自行システムの全面的なパブリッククラウド化を決めたという。クラウド化を進めていく中で、自らのデジタル化を推進しつつ、地域でのコンサルティング機能の発揮をはじめとする、新たなビジネス領域への拡大を図っていく構えだ。
図1は、日本ユニシスが考える地方銀行とのパートナーシップの形態を示したものである。キーワードは「地域デジタル化&地域経営支援」だ。

図1:日本ユニシスが考える地方銀行とのパートナーシップの形態(出典:日本ユニシス)
ふくおかFGも北國銀行も勘定系クラウドに向けて果敢に挑戦している。だが、本当のチャレンジは、経営を改善、強化して顧客や地域社会に喜ばれるサービスをいかに提案していけるかだ。金融庁の調査結果からも、地銀がITやデジタル技術を活用してできることは、まだまだたくさんあると見て取れる。そのチャレンジに大いに注目していきたい。