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ハードから読み解くITトレンド放談

2020年のPC/モバイル向けプロセッサーを占う--ARM編

山本雅史

2020-01-09 06:00

 2019年は、AMDの躍進が目立った。Intelは、10ナノミリ(nm)の半導体製造プロセスでトラブルを抱え、新プロセッサーが計画通りリリースされなかった。製品供給面でも大きなトラブルを抱えた。このように見ていると、プロセッサー市場は、大きな曲がり角に差し掛かっているのかもしれない。

 2020年は、ハードウェアメーカーやユーザーがIntelからAMDへ全面的に切り替えるとは予想しがたいが、AMDがある程度の市場を占めることになるだろう。それ以上に大きな変化は、スマートフォンなどで主流のARMプロセッサーがPCの領域に拡大してきていることだ。また、人工知能(AI)の利用領域の拡大によって、クライアント側でもAI機能を高いパフォーマンスで利用できるようなハードウェアが必要になってきている。こうした状況を踏まえた2020年のプロセッサー事情として、最後にARMの動向を読み解く

 長らくスマートフォン向けに利用されていたARMプロセッサーは、現在ではサーバーやクライアントにも利用シーンを拡大している。2016年には、MicrosoftがARM版のWindows 10を表明していた。ARM版のWindows 10は、さまざまなARMベースのプロセッサーで動作するのではなく、Qualcommのプロセッサーのみを対象としている。このため、PCベンダーが発売するARM版のノートPCにバンドルする形で提供されている。

 実際にARM版のWindows 10のノートPCが市場に登場したのは、北米では2017年のLenovoのモデルだが、あまり売れなかったようだ。その後、2018~2019年は細々と幾つかのメーカーから製品が発売されてきた。しかし、その多くはヒットしなかった。

 そこで、満を持して乗り込んだのが、Microsoftだ。SurfaceブランドのノートPC「Surface Pro X」を発売した(北米は2019年12月、日本は2020年1月)。Surfaceブランドである程度売れないと、今後のARM版のWindowsの未来は暗いだろう。

 実際にMicrosoftは、Windows 8をリリースする際に、ARM版のWindows 8(Windows RT 8)を提供した。Surfaceブランドでも「Windows RT」という2in1ノートPCを発売したことがある。x86プロセッサー版のSurfaceに比べて全く売れなかったようで、後継機種としてSurface 2が発売されたが、Windows 10へのアップデートも行えなかった。このため大量の在庫を抱え、同社は2013年に9億ドルもの減損処理を行うこととなった。

 当時のWindows RTは、“Windows”とはいっても、主流のx86プロセッサーのアプリケーションを動かすことができず、ARMプロセッサー用のアプリケーションをリコンパイルする必要があった。また、x86プロセッサーのWindowsに比べて制限も多く、ユーザーにすれば、Windows RTを使うメリットがほとんどなかった。Surface RTの販売価格も高く、1~2万円ほど追加すればx86プロセッサーのSurfaceが購入できたというのも原因の一つだろう。

 しかし、ARM版のWindows 10は、フルスタックのWindows 10がそのままARMプロセッサー版として提供されている。また、既存のx86アプリケーションを動かすために、ARMプロセッサー上でx86エミュレーターが用意されている。これにより、現在利用しているユーザーのアプリケーションの多くがARM版のWindows 10上で動作する(エミュレーションはx86の32ビットアプリケーションだけで、x64の64ビットアプリケーションはエミュレーションできない)。

 Surface Pro Xでは、プロセッサーにMicrosoftとQualcommで共同開発した「Microsoft SQ1」が使われている。Microsoft SQ1は、Qualcommが開発したSnapdragon 8cxをベースに開発したもので、GPUにもQualcommが開発したAdreno 685が使われている。

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