日立製作所(日立)と羽後交通は1月24日~3月31日まで、路線バス運賃におけるキャッシュレス決済の実証実験を実施している。秋田県の路線バス事業者としては、初めての試みだという。
バス内でのキャッシュレス決済とアプリ画面(イメージ)(出典:日立、羽後交通)
実証では、スマートフォン向けウェブアプリとQRコードを用いた路線バス運賃のキャッシュレス決済システムを活用する。羽後交通の「イオン・イーストモール線」「横手・大曲線」を運行するバスの車内にQRコードを設置し、乗客はスマートフォンでアプリを起動する。QRコードを読み取ることで乗車中に運賃の決済準備をしたり、複数人の運賃を一括で支払ったりできる。
決済時、運転手は乗客のスマートフォン画面に表示された運賃額を確認するだけで、乗客自身がアプリ上で支払い操作を行う。これにより、乗降車場所に応じて運賃が細かく変動する路線バスにおいて、スムーズかつ必要な設備の少ないキャッシュレス決済が可能になるとしている。
地方部の路線バス事業では、高度な専用設備の導入・運用が必要になる他、QRコードを用いた決済では必要な設備は少ないものの、乗降車場所によって細かく変動する運賃の確認・入力に時間を要し、運行遅延を招く可能性があることなどから、キャッシュレス決済の導入は困難とされてきたという。
日立は地方の公共交通機関の利便性向上と活性化に向けて、ウェブアプリとQRコードを組み合わせたキャッシュレス決済システムを開発した。今回の実証実験では、同システムを用いた2パターンの決済手順を試行することで、システムの利便性とキャッシュレス決済の導入による運賃授受に要する時間の短縮効果の検証を行う。
実証実験における決済手順(出典:日立、羽後交通)