Microsoftは米国時間1月30日、「Windows 10 May 2019 Update」(バージョン1903)や「Windows 10 November 2019 Update」(バージョン1909)が稼働するマシンを対象とした、Intelのマイクロコード更新プログラムをリリースした。なおこれらの更新プログラムは、「Zombieload」などの最近明らかにされた4つのセキュリティ脅威に対処するものだ。
今回のマイクロコード更新プログラムのリリースは、ファームウェア更新の配布作業をチップメーカーに代わってMicrosoftが支援していくという取り組みの一環だ。投機的実行と呼ばれる最適化処理を実現するためのIntelプロセッサーの実装の裏をかく各種の攻撃を防ぐために必要となっている。
この更新プログラムが対処するのは、「Fallout」として知られる「マイクロアーキテクチャ上のストアバッファーからのデータサンプリング(MSBDS)の脆弱性」(CVE-2018-12126)と、「マイクロアーキテクチャ上のロードポートからのデータサンプリング(MLPDS)の脆弱性」(CVE-2018-12127)、Zombieloadあるいは「RIDL」として知られるマイクロアーキテクチャ上のフィルバッファーからのデータサンプリング(MFBDS)の脆弱性」(CVE-2018-12130)、「マイクロアーキテクチャレベルでのキャッシュ不能メモリーのデータサンプリング(MDSUM)の脆弱性」(CVE-2019-11091)だ。
これらの脆弱性を突くサイドチャネル攻撃は2019年5月に研究者らによって明らかにされている。2018年1月に明らかにされた「Spectre」や「Meltdown」も同種の脆弱性を悪用するものだ。
ユーザーはIntelのマイクロコード更新プログラムをインストールするよう奨励されている。なお、Zombieloadに対する緩和策によってハイパースレッディング機能を無効化したシステムのなかには、CPUパフォーマンスが最大で40%低下したという報告もある。
Microsoftはサポートページで、「Denverton」と「Sandy Bridge」「Sandy Bridge E」「Sandy Bridge EP」「Valley View」「Whiskey Lake U」プロセッサー向けの新たなマイクロコード更新プログラムの提供を開始したと記している。
Whiskey Lake U向けの更新プログラムは、ノートPC向けの第8世代「Intel Core」プロセッサーのUシリーズを対象とするものであり、対象製品は「Intel Core Processor i7-8565U」と「Intel Core Processor i5-8265U」「Intel Core Processor i3-8145U」「Intel Core Processor 4205U」「Intel Core Processor 5405U」となっている。
また、Denverton向けの更新プログラムは「Intel Atom Processor E3800」製品ファミリーを対象としており、Sandy Bridge向けの更新プログラムはデスクトップPCおよび組み込み機器、モバイル機器向けの第8世代Intel Coreプロセッサーを対象としている。
さらに、Sandy Bridge EおよびSandy Bridge EP向けの更新プログラムはサーバー向けのIntel Coreプロセッサーや「Intel Celeron」プロセッサー、「Intel Pentium」プロセッサーを対象としており、Valley View向けの更新プログラムは「Intel Atom」プロセッサーのZシリーズとIntel CeleronプロセッサーのNシリーズ、Intel PentiumプロセッサーのNシリーズ、「Intel Puma」ファミリーを対象としている。
これらの更新プログラムは、「Windows Update」経由で自動的にインストールされるわけではないため、ユーザーは「Microsoft Updateカタログ」から手作業でインストールする必要がある。
またMicrosoftは「この更新プログラムには、製造工程向けリリース(RTM)の時点で対象OS向けに既にリリースされていたIntelのマイクロコードアップデートが含まれている」と記している。
さらに同社は、「これらのOS用のマイクロコードアップデートがIntelから追加で提供され次第、このページを通じて提供していく。なお、『Windows』クライアントおよび『Windows Server』のサポート技術情報に記載されているレジストリ設定を使用してほしい」とも記している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。