IDC Japanは、SDN(ソフトウェア定義によるネットワーク)やNFV(ネットワーク機能の仮想化)に代表される国内ネットワーク仮想化市場の2020年の予測を発表した。起こり得るとされる主な事象は次の通り。
- 国内ネットワーク仮想化/自動化市場は2020年も成長を続けるが、成熟化に向かう姿が鮮明になる
- 「結果としてのマルチクラウド」からの脱却に向けて、クラウド内/クラウド間のネットワーク管理の課題がようやく注目されるようになり、マルチクラウドネットワーク仮想化の訴求機会が訪れる
- 勢力図が明らかになったデータセンター向けネットワーク仮想化/自動化市場では、もはや競争相手は「必要性の欠如」である
- ネットワーク仮想化/自動化ソリューションの適用先として、産業用ネットワークの重要性が高まる
- AI(人工知能)/機械学習を活用した企業ネットワークソリューションがバズワードの域を超えて、企業ネットワークに「溶け込むAI」になり得るか真価が問われる
- パブリッククラウド中心のネットワークアーキテクチャーの議論が、あらゆる関係者の間でいっそう高まる
- 魅力的な最新ネットワーク半導体を搭載したホワイトボックススイッチ製品の拡充が進む
- 5G SA(スタンドアロン構成の第5世代移動体通信システム)やMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)の実現に向けて、クラウドネイティブ 5Gインフラの議論がさらに活発化する
- SD-WANの導入事例は着実に増加するも、既存市場に地殻変動を起こすまでには至らない
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みで、ネットワーク仮想化/自動化によるネットワークの次世代化が取り残されることへの危惧が広がる
IDCは、国内ネットワーク仮想化および自動化の市場が、SDNのブームを超えて安定した成長市場になり、2020年は成熟市場化に向けて、その姿が明らかになると予想する。一例では、技術的な成熟化とベンダー勢力図の固定化が進んでおり、不可逆的な流れとして2020年もそうした動きが進展するという。
一方で同市場は、成長の余地が依然として多く残され、市場の成長を再加速させるようなクラウドネイティブ/コンテナー化、マルチクラウド、AI活用によるネットワーク自動運転など、プラットフォームの変化や新たな技術の活用機会も見えているとする。
同社コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、「ネットワーク仮想化/自動化を用いて、DXが求めるスピードや柔軟性を実現するネットワークの次世代化こそが、DXの成功を支える重要な要素であることをベンダーもユーザー企業も改めて認識すべき」と述べている。