Midokuraは11月3日、ネットワーク仮想化ソフトウェア「MidoNet」のソースコードをApache 2.0ライセンスに準ずるオープンソースとして開放すると発表した。MidoNetのコードは無償でダウンロードできる。
Midokuraはスイスのローザンヌに本社を置く、ネットワーク仮想化分野に特化して2010年に創立。OpenStackなどのクラウドプラットフォームと連携した「Midokura Enterprise MidoNet(MEM)」を提供している。
MidoNetはネットワーク仮想化をソフトウェアで実現するオーバーレイ型でIaaS上で柔軟なL2~L4の仮想分散ネットワークサービスを構築できる。ネットワーク処理をエッジのコンピュートノードで処理するアーキテクチャを特徴とし、導入や運用が簡易で拡張性や耐障害性に優れ、ネットワークのコスト削減、安定性、拡張性、性能を向上させられるとしている。
今回、MidoNetのすべてのコードがApache 2.0に準じてオープンになり、ユーザーはMidoNetを自由に利活用、ディストリビュートできるだけでなく、開発に貢献できるようになった。MidoNetオープンソースプロジェクトに対しては、18を超える主要企業がサポートを表明、その多くがすでにMidoNetを検証、導入しているという。商用版MidoNetとして、企業向けサポートや管理ツールが付属するMEMの提供は継続される。
Midokuraでは、個別のベンダーに偏らないMidoNetのコミュニティ確立やユーザーのサポートに関与し、オープンソースのコミュニティへの貢献や、コミュニティサイトの準備や運営といったコミュニティの活動に取り組んでいくとしている。Midokura共同創業者で最高経営責任者(CEO)兼最高技術責任者(CTO)のDan Mihai Dumitriu氏が以下のようにコメントしている。
「創業以来4年間、一貫してMidoNetに注力し、競合他社より優れたソフトウェアを開発してきたと自負している。現在のOpenStack Neutronのコミュニティは、ネットワークベンダーが各社のプロプライエタリ製品を販売するために多数のプラグインがバラバラに存在しており、デフォルトとなるべきオープンソースに力を入れることができていない。結果、オープンソースのOpenStack Neutronは商用利用に耐えるレベルに至っていない。ミドクラはMidoNetをオープンソース化し、コミュニティドリブンのプロジェクトとすることで問題を解決する。OpenStackコミュニティに安定性と拡張性が高く、構築がしやすい商用利用レベルのネットワーク仮想化ソフトウェアを提供する」