デルテクノロジーズ(デルおよびEMCジャパン)は2月27日、「IT投資動向調査2020」を発表した。調査結果をもとにデルテクノロジーズは、2020年を中堅企業における「デジタル化元年」と位置付け、「共有」「学習」「育成」「実践」「支援」――の5つの領域から中堅企業向けの支援策を用意する考えを示した。
デル 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏
また、デルの国内における中堅企業向けビジネスが、この2年間で約2倍に拡大していることを示しながら、「デルテクノロジーズにとって、中堅企業向けビジネスは屋台骨。人やパートナー連携に対する投資を積極化させた結果、大幅な成長を遂げている。この分野では、グローバルに見ても、日本が最も高い成長率になっている」(デル 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏)とした。
「IT投資動向調査2020」は、従業員100人以上・1000人未満の国内の中堅企業1300社を対象に実施した調査で4回目になる。前回(2019年)は800社が対象だったが、これが大幅に増加した。企業動向、IT動向、セキュリティおよびリスク対策状況、働き方改革の進捗状況、製品/サービス、デジタル化の各カテゴリーの全55項目から回答を得ている。デジタル化に関する設問は今回から追加した。
今回の調査結果から、中堅企業の49%がデジタル化に積極投資を行い、デジタル化を推進する人材の育成は、73%が社内での育成を重視していること、仮想化を行っていない企業が31%に達するとともに、Windows 10搭載PCに全台入れ替えた企業は27%にとどまり、依然として従来型のIT技術が使われていること、IT基盤の構築、保守においては外部リソースを活用したいとする企業が64%に上っていることが明らかになった。
「IT投資動向調査2020」のポイント
瀧谷氏は、「デジタル化に積極投資をしたいという中堅企業が増加しているが、従来型ITの活用や保守にリソースが割かれてしまっているというのが多い。既存のIT基盤の保守はアウトソーシングし、デジタル化については、社内にデジタル人材を育成して、社内のリソースによりデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めたいという姿勢が見られている」とした。
加えて、「ビジネスモデルを変革していくことも大切だが、現場の課題をデジタルで解決することが急務となっている。既存ビジネスを高度化、効率化することを目的とした、極めて実務的なDXを推進していくことが、中堅企業に求められている」などとした。
同社では、調査結果から、中堅企業のIT化において、10個のトレンドがあるとした。内容は以下の通り。
- 「ひとり情シス」や「ゼロ情シス」は37.4%を占め、依然としてIT人材不足の深刻化が継続。また、IT人材の流動化が進捗する傾向が見える
- 業績好調と回答する企業が11%減少し、特に建設業や製造業で大幅にダウンする一方で、宿泊業・飲食サービス業や運輸業で業績好調とする企業が増えている
- デジタル化への投資が「増加傾向」「増加計画あり」とする中堅企業が48.8%と約半数を占めた。だが、デジタル化の取り組みが「他社と比べてある程度進んでいる」「かなり進んでいる」は20.0%にとどまり、取り組みの遅れに対する危機感がある
- デジタル化推進に向けた人材確保においては、「自社内で人材を育成(IT部門内)」が42.6%、「自社内で人材育成(事業部門内)」が30.3%となり、内部育成を重視する傾向が強い
- Windows 10の「全台を移行または入れ替え済」は26.5%と、3割弱にとどまる。移行の課題として、「移行作業・展開にかかる人手」が5割を占めている
- 直近3年間でセキュリティ事故の被害にあった企業は27.3%。Windows 10への(PC)全台入れ替えが終わっていない企業では、セキュリティ事故のうち、ランサムウェア被害が75%を占め、全台入れ替え済の企業とは36ポイントの差が出た
- バックアップで抱える課題は、「バックアップデータの増加」が50.7%と、半数を超えた。また、53%の企業がバックアップからシステム復旧をする自信がないとしている
- IT予算の内訳にBCP(事業継続計画)対策費用が占める割合が増加。2019年の度重なる自然災害を背景に、災害対策費用を計上したり、投資を進めたりする企業が増え、意識が変化している
- 中堅企業の30.8%がサーバー仮想化を行っていない。また、ひとり情シス企業では43.9%がサーバー仮想化を行っていない
- IT基盤の構築/保守運用の外部リソース活用が64.0%と加速。形態としては、システム事業者/SIベンダーによるスポット保守が56.0%と最も多い。選定で重視するのは、価格、品質、信頼性・安定性だった