DX新会社「Ridgelinez」は“変革創出企業”--富士通、グループ変革も推進

藤本和彦 (編集部)

2020-03-09 14:37

 富士通は3月9日、DX(デジタル変革)企業への変革に向けた取り組みに関する記者説明会を開催。その中核となる新会社のRidgelinezと、富士通グループの変革を推進する新たな経営体制を紹介した。

富士通 代表取締役社長の時田隆仁氏
富士通 代表取締役社長の時田隆仁氏

 富士通では現在、IT企業からDX企業へと変革し、グローバルにDXビジネスを展開して体制を整えている最中にある。これまでのビジネスや社内プロセス、カルチャーを抜本的に見直し、持続的な成功と収益性の向上を目指している。2022年度にテクノロジーソリューションの売上高を3兆5000億円、営業利益率を10%まで伸ばす。そのうち、デジタル領域は1兆3000億円の目標を掲げている。

 DX企業への変革に向けた取り組みとして、代表取締役社長の時田隆仁氏は、DXビジネスを加速する新会社の設立と、変革を推進する新たな経営幹部を紹介した。

 新会社は、4月1日付けで設立されるRidgelinezになる。時田氏は「富士通グループのDXを具現化した姿」と表現し、「富士通の1部門ではなく、自立した企業として競争力のある集団を目指す」と期待を示した。「ゼロからイチを生み出すトランスフォーメーションをデザインし、コンサルテイングから最新技術の実装までをワンストップで提供する」

 グループ内の変革を推進する新たな経営体制については、テクノロジーソリューション部門 理事の大西俊介氏、M&A戦略担当 理事のNicholas Fraser氏、4月1日付でCMO(最高マーケティング責任者)理事に就任する山本多絵子氏、同じくCIO(最高情報責任者)兼CDXO(最高デジタルトランスフォーメーション責任者)補佐 執行役員常務に就任する福田譲氏の4人が紹介された。Fraser氏はMcKinseyから、山本氏は日本マイクロソフトから、福田氏はSAPジャパンから富士通に参画する。

 大西氏はグローバル規模での品質管理とデリバリー能力の強化を、Fraser氏は社グループのビジネス拡大に向けたM&A(合併買収)戦略を主導。山本氏はグループのブランド戦略を含めた全社のマーケティング機能強化を推進し、福田氏は業務プロセス・組織・企業風土・ワークスタイルを横断したグローバルでの社内DX化をけん引する役割を担う。

 Ridgelinezについては、同社 代表取締役社長に就任する今井俊哉氏が新会社の目指す姿を明らかにした。

Ridgelinez 代表取締役社長に就任する今井俊哉氏
Ridgelinez 代表取締役社長に就任する今井俊哉氏

 現在、企業のDXについては、手段ばかりが目的化して「何をしたいか?」といった戦略性が希薄になっていたり、テクノロジーを起点とした供給者の目線になっていたり、コンセプトの実装段階で技術的な障害が生じていたりなど、さまざまなチャレンジが存在する。

 そうした状況の中で必要となるのが「Transformation Design(変革の設計)」であり、同社では「企業の目指す姿を体現する事業モデルの再定義」「お客さまと社会の価値創造に軸足を置いた優先順位付け」「実装と成果を常に追求する実践志向」という側面で企業のDX化を支援していくという。

 今井氏は新会社を“変革創出企業”と表現し、「お客さまと社会の変革を創出し、非連続な未来(Alternative Futures)を実現する」とビジョンを強調した。

 Ridgelinezでは、富士通グループがこれまで得意としてきた業務プロセスアーキテクチャーの設計やオペレーションシステムの開発といった領域にとどまらず、戦略策定からビジネスモデルソリューションの設計、戦略実行、エコシステムの構築・運用とったデジタルジャーニーのエンドツーエンドで支援する。

Ridgelinezのサービス概要
Ridgelinezのサービス概要

 基本的にはコンサルティングとプロトタイピングを手掛ける企業になる。各業種に精通した「Industry DX Strategy Consultant」が顧客のニーズを構造化して理解し、DXの目標を定め、「DX Competency Consultant」がDXの実現に向けた新たな業務プロセスやIT活用のアプローチを具体的に構想する。そして、「DX Technology Consultant」がグランドデザインからプロトタイプの実装まで顧客の価値創出を支援する体制となっている。

Ridgelinezの組織概要
Ridgelinezの組織概要

 また、戦略系のコンサルティング会社として、プロフェッショナル人材の獲得がキモになる。そのための人事施策として、「プロフェッショナルとしての市場価値にふさわしい報酬体系」「360度評価をはじめとした透明性の高い評価制度」「共創を推進するオフィスや柔軟に働ける制度などの環境整備」を掲げている。4月1日時点で300人程度でスタート、3年後をメドに600人強まで増強する計画としている。

 「(社名の)“Ridgelinez”とは、多くの山々が折り重なる稜線 (ridgeline) に由来する。DXはチャレンジングな取り組みであり、その道程は1つではない。多様な個性・才能との共創が重なることで新たな価値を生み出していく」(今井氏)

(左から)福田譲氏、山本多絵子氏、時田隆仁氏、今井俊哉氏、Nicholas Fraser氏
(左から)福田譲氏、山本多絵子氏、時田隆仁氏、今井俊哉氏、Nicholas Fraser氏

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