DROBEでは、AIがユーザーのアンケートを基にした商品の推薦、スタイリストが推薦された商品の調整を行う。サービスの開発時からAIの活用を見据えていたが、提供当初はスタイリストだけで商品を選定していた。その後、AIの精度が実用可能なレベルに達したと判断し、2020年2月1日にAIを導入した。
導入して間もない頃は、AIの効果が不透明でスタイリストは利用に消極的だった。だがアルゴリズムの継続的なアップデートに加え、次第に効果が見えてきたことで、積極的に利用するようになったという。現在は、ユーザーに送る商品の約8割がAIによるレコメンドを経由している。全てのプロセスをスタイリストが担当するのは、ユーザーの好みがサービスを利用する中で変わった場合などがある。AIの導入前は、オペレーションを工夫してもユーザー1人当たりの商品選定に100分以上かかっていたが、直近では60分以下になったという。
説明会では、DROBEのスタイリストを務めるReika氏も登壇。自身が選定したアイテムを紹介した。スタイリストには、販売員やデザイナー、学校講師など、さまざまな経歴を持つ人々が所属している。スタイリスト数は30人で、通過率は5%以下だという。
DROBEのビジネスモデルは、取引先から商品を入荷後、自社の倉庫を通してユーザーに発送。ユーザーから返品された商品のうち需要がありそうなものは再販し、それ以外は10日程度で取引先に返送する。商品代金のうち、一定の割合が同社に支払われる仕組みとなっている。
DROBEは、取引先であるアパレルブランド側にもメリットがあるとしている。ユーザーの購入/返品理由は担当スタイリストを通してブランド側に伝えられるため、フィードバックを今後の商品開発に生かすことができる。また、これまで接点のなかったユーザーにも自社の商品を提案してもらうことで、認知や販路の拡大が期待される。三越伊勢丹は同社に出資し、DROBEの事業において協業している。三越伊勢丹は自社の従業員をスタイリストとして派遣したり、取引のあるブランドと交渉したりしているという。
ドローブは2020年度の目標として「AIの強化」を掲げる。商品やユーザーを基に継続的な学習を進めるほか、特徴量(分析対象の特徴を定量的に表したもの)を増やすことや、既存ユーザーに向けて本来の好みとは少し異なる「外し」の商品を提案することを考えているという。2020年度の目標ユーザー数は、10万人以上。2021年度以降は、メンズなどのユーザーセグメント拡大に加え、DROBEの運用で得た知見を生かしてアパレルブランドの商品価格や生産数量を最適化したり、特定のブランド専用のスタイリングサービスを提案したりすることを検討している。