NTT東日本ならではのビジネスエコシステム構築に期待
以上が発表の概要だが、筆者がこの動きに注目したのは、NTT東日本が中堅中小企業向けのITサービスに本腰を入れ始めたと感じたからだ。
東日本にきめ細かい事業ネットワークを持つ同社は、固定電話網の事業が縮小する中で、かねてクラウドをはじめとしたITサービスに注力している。
そうした中で今回の新サービスは、クラウドとサポートをセットにして中堅中小企業の基幹業務に対してソリューションを提案したもので、中堅中小企業向けビジネスへの同社の力の入れようがうかがえる。
さらに、今回の動きには次の2つの点で注目したい。
1つは、NTT東日本ならではのビジネスエコシステムの構築だ。図1に見るように、今回の新サービスはさまざまなクラウドサービスとサポートを組み合わせており、同社がサービスインテグレーターを担っている格好だ。ビジネスエコシステムと表現したのは、こうした他のクラウドサービスベンダーなどに加えて、今後はユーザー企業もサービスの開発や展開に加わる可能性があるからだ。同社ならば、そうしたエコシステムを地域へ広げていけるのではないか。
もう1つは、IT人材の確保だ。先述したように、中堅中小企業にはIT担当者が不足している。NTT東日本ならば、それを補えるだけのポテンシャルがあるのではないか。もちろん、同社にIT人材が豊富にいるのかといえば、現時点では厳しいかもしれない。しかし、NTTグループとしてリソースを有効活用できるならば、まさしく同社にしかできないビジネスのスケールになるのではないか。そうすれば、強力な「中堅中小企業のIT化促進」につながるだろう。
この2つの点は結構大きな話だが、NTT東日本、さらにはNTTグループが本気になれば、という思いで注目していきたい。