SAP、第1四半期はソフトウェアライセンスの売上高など減少--新型コロナで

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-04-10 10:50

 SAPは現地時間4月8日、2020会計年度第1四半期(3月31日締め)の決算速報を発表した。ソフトウェアライセンスの売上高は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受けて31%減となるが、クラウドの売上高は持ちこたえている。SAPはリモートからの営業と導入戦略に、一層力を入れていく考えだ。

 SAPは4月21日に正式な決算発表を行う予定だが、第1四半期のクラウドの売上高は29%、総売上高は7%増加する見通しだという。

 SAPは、次のように述べている

 第1四半期の最初の2カ月間は、事業活動が健全だった。しかし、同四半期の終盤に近づくにつれ、COVID-19危機の影響が急激に高まり、相当量の新規受注が延期された。これはとりわけ、ソフトウェアライセンスの売上高が前年同期より大幅に落ち込んでいることに表れている。

 SAPはこの新たな状況に迅速に対応するべく、バーチャル営業とリモート導入の戦略を進めてきた。当社は収益性を守るために、出張の抑制やイベントの仮想化による経費削減のほか、雇用を遅らせることや裁量支出の削減に取り組んでいる。

 従来のソフトウェアライセンスの売上高が減少したのは、驚くに当たらない。企業がリモートワークを導入したり、事業所を閉鎖したりしているため、商談の成立やソフトウェアの実装を行う従業員が不足しているからだ。またSAPの顧客も、経費削減に取り組んでいる。

 SAPによると、国際財務報告基準(IFRS)に基づく第1四半期の売上高は、前年同期比7%増の65億2000万ユーロ、クラウドの売上高はIFRSベースで20億1000万ユーロになる見通しだ。ソフトウェアライセンスの売上高は4億5000万ユーロ。アナリストは同社の第4四半期業績を基に、第1四半期の売上高を65億3000万ユーロと予想していた。

 最高財務責任者(CFO)のLuka Mucic氏は声明で、同社はCOVID-19による不透明な状況を乗り越え、さらに強力な立場につくことができると述べた。SAPは、サプライチェーンや財務を管理するビジネスネットワークと技術を提供している。これらは企業にとって必須の要素だ。

 営業利益はIFRSベースで11億2000万ユーロとなる。また、年次イベント「SAPPHIRE NOW」の現地開催を中止することに関連し、およそ3600万ユーロの費用が発生している。

 SAPは2020年の見通しについて、固定通貨換算ベースでクラウドの売上高は18%〜24%増加し、非IFRSベースで83億〜87億ユーロになると予想している。同社は当初、クラウドの売上高を87億〜90億ユーロと見込んでいた。総売上高は278億〜285億ユーロを見込んでおり、これまでの予想の292億〜297億ユーロから下方修正した。

 営業利益は、非IFRSの固定通貨換算ベースで81億〜87億ユーロと予想しており、89億〜93億ユーロという先の予想を引き下げた。SAPは「2019 Integrated Report」で明らかにした、長期的な2023年の目標については変わりないと考えているようだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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