マイクロソフト、医療機関をサイバー攻撃から保護へ--「AccountGuard」サービスを拡大

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫

2020-04-16 14:25

 Microsoftは米国時間4月14日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に最前線で立ち向かう医療機関に「AccountGuard」サービスを無料で提供すると発表した。

Microsoft AccountGuard
提供:Microsoft

 AccountGuardは、Microsoftが選挙などの政治分野の顧客に提供しているセキュリティサービスだ。

 AccountGuardプログラムへの参加が認められている組織は、Microsoftのセキュリティ担当者から特別な保護を受けられる。また、電子メールのアカウントに対する脅威の検出と通知機能などが含まれる。主な機能はMicrosoftのサイトで紹介されている。

 Microsoftは、2018年にAccountGuardサービスを開始し、これまで主に政治活動団体や選挙管理委員会など、選挙に関わる組織に提供してきた。

 同社は14日、このサービスを医療機関と人権団体にも提供すると発表した

 MicrosoftでCustomer Security & Trust部門担当のコーポレートバイスプレジデントを務めるTom Burt氏は、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで、病院や診療所の活動を妨害するサイバーセキュリティインシデントに関する複数の報道や、同社が多くの国で医療分野を狙う攻撃を検出したことを受け、14日よりこのプログラムを拡大し、医療機関を対象とすることを明らかにした。

 これまでに、医療機関などに対する攻撃が複数報告されている。チェコのブルノ大学病院パリの病院システムスペインの病院のコンピューターシステムタイの病院テキサス州のクリニックイリノイ州の衛生当局、そして世界保健機関(WHO)を標的にした攻撃などがあったとされる。

 このような攻撃すべてをAccountGuardで防ぐことはできなかったかもしれないが、病院の職員が受信したスピアフィッシングメールが起点となったものなど、一部の攻撃は防げた可能性がある。

 医療機関向けの「AccountGuard for Healthcare」は、「COVID-19のパンデミックが収束するまで」無料で提供される。

 またMicrosoftは、人権団体や人道支援団体にもAccountGuardを提供する。これは、新型コロナウイルスの感染拡大とは無関係だ。

 Burt氏は、「アムネスティ・インターナショナル、CyberPeace Institute、フリーダムハウス、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、人権のための医師団(PHR)などの主要な人権団体や人道支援団体が、最初の試験運用の段階でAccountGuard脅威通知サービスに登録されている」と説明した。

 人道支援団体は、国家の支援を受けたハッカー集団による攻撃の標的になることが多い。

 Burt氏によると、医療機関向けの「AccountGuard for Healthcare」と人権団体向けの「AccountGuard for Human Rights Organizations」は、まずAccountGuardがすでに提供されている北米や欧州の29カ国で利用できるようになる。

 今後、各地の法律や規制、必要性に基づいて、さらに多くの国にサービスを拡大していく。

 MicrosoftのサイトでAccountGuard for HealthcareAccountGuard for Human Rights Organizationsの登録を受け付けている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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