Microsoftは米国時間4月14日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に最前線で立ち向かう医療機関に「AccountGuard」サービスを無料で提供すると発表した。
提供:Microsoft
AccountGuardは、Microsoftが選挙などの政治分野の顧客に提供しているセキュリティサービスだ。
AccountGuardプログラムへの参加が認められている組織は、Microsoftのセキュリティ担当者から特別な保護を受けられる。また、電子メールのアカウントに対する脅威の検出と通知機能などが含まれる。主な機能はMicrosoftのサイトで紹介されている。
Microsoftは、2018年にAccountGuardサービスを開始し、これまで主に政治活動団体や選挙管理委員会など、選挙に関わる組織に提供してきた。
同社は14日、このサービスを医療機関と人権団体にも提供すると発表した。
MicrosoftでCustomer Security & Trust部門担当のコーポレートバイスプレジデントを務めるTom Burt氏は、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで、病院や診療所の活動を妨害するサイバーセキュリティインシデントに関する複数の報道や、同社が多くの国で医療分野を狙う攻撃を検出したことを受け、14日よりこのプログラムを拡大し、医療機関を対象とすることを明らかにした。
これまでに、医療機関などに対する攻撃が複数報告されている。チェコのブルノ大学病院、パリの病院システム、スペインの病院のコンピューターシステム、タイの病院、テキサス州のクリニック、イリノイ州の衛生当局、そして世界保健機関(WHO)を標的にした攻撃などがあったとされる。
このような攻撃すべてをAccountGuardで防ぐことはできなかったかもしれないが、病院の職員が受信したスピアフィッシングメールが起点となったものなど、一部の攻撃は防げた可能性がある。
医療機関向けの「AccountGuard for Healthcare」は、「COVID-19のパンデミックが収束するまで」無料で提供される。
またMicrosoftは、人権団体や人道支援団体にもAccountGuardを提供する。これは、新型コロナウイルスの感染拡大とは無関係だ。
Burt氏は、「アムネスティ・インターナショナル、CyberPeace Institute、フリーダムハウス、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、人権のための医師団(PHR)などの主要な人権団体や人道支援団体が、最初の試験運用の段階でAccountGuard脅威通知サービスに登録されている」と説明した。
人道支援団体は、国家の支援を受けたハッカー集団による攻撃の標的になることが多い。
Burt氏によると、医療機関向けの「AccountGuard for Healthcare」と人権団体向けの「AccountGuard for Human Rights Organizations」は、まずAccountGuardがすでに提供されている北米や欧州の29カ国で利用できるようになる。
今後、各地の法律や規制、必要性に基づいて、さらに多くの国にサービスを拡大していく。
MicrosoftのサイトでAccountGuard for HealthcareとAccountGuard for Human Rights Organizationsの登録を受け付けている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。