DXが導く仮想化、クラウド化時代に求められる技術者の条件--LinuC V10刷新の背景

ZDNET Japan Staff

2020-04-27 11:30

 あらゆるモノがインターネットにつながるIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)など先進テクノロジーを活用し、これまでにない斬新なアイデアをすばやくシステム化してビジネスでの成功を目指す「デジタル変革(DX)」が、業種の垣根を超えて求められている。

 このシステム化を実現する上で、システム側に求められる要件は、メインフレームなどの単体の物理サーバーを中心としていたこれまでの仕組みとは違ってくる。1つの物理サーバー上に複数の仮想サーバーを導入して稼働率を上げる仮想化技術などは既に幅広く利用されている。

 特に、仮想サーバーであれば、新しい用途のためにサーバーを立ち上げたいといった場合に、柔軟にサーバー環境を構築し、業務ソフトウェアをインストールして利用できる。新しく物理サーバーを購入する必要がなくなるため、DXで求められるスピードを担保し、すばやく、また安価に新たなビジネス環境を確保できるのである。また、ビジネスが順調に大きくなり、システムへの負荷が増えた場合は、気軽に仮想サーバーを追加することで対応できる。

 DXを意識する時、仮想サーバーやコンテナーといった広義の仮想化技術や、クラウドベースの仕組みを採り入れざるを得ない時代になってきた。一台の巨大な基幹システム上に構築するという発想は、日に日に古くなってきている。

 主にITによる効率化を目指すSoR(Systems of Records)分野では、従来のようにシステムインテグレーターのノウハウに任せ切るような方法で済んでいた。しかし、DX時代に求められるSoE(Systems of Engagement)領域では、金融、流通、自動車など、各事業者側にもITエンジニアが求められてくる。SoEにおいてクラウドネイティブなアプリケーション開発が求められるなどテクノロジーの内容が変化し、さらに事業価値向上を念頭にしなくてはならないなど、ITエンジニアの裾野が広がってくるのである。

これからのITエンジニアに求められるもの

 当然、今後のエンジニアに求められる要件も変わってくる。単体サーバーから仮想サーバーやクラウド利用への対応、それに伴い複雑化する技術要素やアーキテクチャーの把握、さらに最近のトピックとして、Linuxなどのオープンソースがシステムの中核を支えるようになってきていることへの感覚的な理解などが求められる。

 テクノロジー環境のこうした根本的な変化を受け、ITエンジニアを対象に技術レベルを認定する資格試験「Linux技術者認定LinuC」が、試験範囲を全面的に見直し、これからの全てのITエンジニアにとって必須となる認定試験となる「Version 10.0」を発表した。

 LinuCを実施する特定非営利法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)によると、LinuCレベル1とレベル2の出題範囲を全面改訂し、インフラ技術者だけでなく、アプリケーション技術者、AI技術者を含めたすべてのITエンジニアへと対象範囲を広げた。

 今必要とされる技術や考え方が身につくだけでなく、自ら主体的に調べ、考えられるようにするなど基礎的スキルに着目している。また、Linuxの技術習得をベースにしていることから、「小さな部品を組み合わせて大きな機能を実現するLinuxだからこその創造性や探求心を育む」を狙いとしている点が特徴となっている。

 LinuC Version 10.0の準備を進めることで、ITエンジニアとして、動作環境や利用サービスを見極め、効率性を高め、独自の作り込みも柔軟性に配慮して実施できるようになる。セキュリティ対策やトラブル回避のノウハウも生かせるとしている。必要とされる本質的技術力、応用力、探求心を身につけるためのトータルな資格試験として、今後のITエンジニア育成において強い期待を集めている。

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