グーグル、「Cloud Healthcare API」一般提供--医療データの活用を容易に

Owen Hughes (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-04-27 14:54

 Googleは、同社の「Cloud Healthcare API」の利用可能性を拡張することで、ヘルスケア分野における相互運用性を向上させ、無数の医療データソースからの洞察をプロバイダーが取得できるようにしようとしている。同社はCloud Healthcare APIの一般提供(GA)を開始したと発表した。

 Cloud Healthcare APIを使うことで、ヘルスケア組織は「Digital Imaging and Communications in Medicine」(DICOM)や「Health Level 7(HL7)Version 2」、「Fast Healthcare Interoperability Resources」(FHIR)といった規格を含む、さまざまなタイプの医療データをクラウド経由で収集、管理できるようになる。

 こういったデータをアナリティクス/機械学習(ML)プログラムで処理すれば、ヘルスケアプロバイダーは患者のケアを向上させるために役立つパターンの洗い出しが可能になる。

 Googleが指摘しているように、さまざまなデータフォーマットや入力を一元的に俯瞰(ふかん)するには、「超人的な努力」が必要となる場合もしばしばある。このことは、ヘルスケアシステムが著しく断片化されている点を考えると特に言える。

 人工知能(AI)やMLによってデータを追跡することで、患者の予後の向上に役立つパターンの洗い出しができると期待されている。予後の向上は、世界中のヘルスケアプロバイダーが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対応に追われているなか、注目を集めるようになってきている。

 Googleは同社ブログへの投稿に「われわれは、このパンデミックがヘルスケア業界のあらゆる側面にさまざまな影響を及ぼしているなか、組織のニーズが急速に進化してきていると理解している」と記している。

 「われわれの持つテクノロジーの専門性をヘルスケア組織の専門家チームに提供することで、可能な限り多くの人々に最善のケアをもたらすべくまい進していけるようにする。それがわれわれの目標だ」(Google)

 Googleは2018年3月にCloud Healthcare APIの早期アクセス版をリリースした。

 Googleは2019年から米大手総合病院Mayo Clinicと提携しており、ヘルスケア提供の革新に向けてクラウドベースのAIテクノロジーがいかに役立つのかを示そうとしている。

 Googleによると、Mayo ClinicはGoogleと提携して以来、臨床データの保存と、相互運用性の向上に向けてCloud Healthcare APIを使用してきているという。

 Mayo Clinicの「Mayo Clinic Platform」担当プレジデントであるJohn Halamka氏は、「テクノロジーは現在、迅速かつセキュアなかたちで活用されるだけでなく、より重要な点として、患者に対するより良いケアをもたらす方法で活用されることが求められている。GoogleのCloud Healthcare APIは、関係者間でのデータの流動性を高め、それによってより良いケアを患者にもたらす上で力になってくれる」と述べた。

 相互運用性は依然として、ヘルスケア業界の難問となっている。データのフォーマットや所有権をめぐる争いによって、ヘルスケアシステムの連携が阻害されるとともに、ヘルスケアのプロフェッショナルたちが必要な時に必要な場所で患者のデータを利用できるようにするための取り組みが阻害されている。

 米国では、メディケア&メディケイド・サービスセンター(CMS)と米国家医療IT調整室(ONC)がルールを策定したことで道筋が見えてきた。これによってヘルスケア機関は患者データの交換が、そして患者は自らの情報へのアクセスが容易になる。

 Googleは、Cloud Healthcare APIの設計思想がスケーラビリティーを確保しつつ、相互運用性と患者のアクセスをサポートするというものだと述べた。

 そして同社は、COVID-19のパンデミックによって、データの相互運用性を向上させるというニーズがかつてなかったほど重要視されてきていると付け加えた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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