半導体技術商社のマクニカは4月27日、人工知能(AI)やIoTなどを利用して製造業のスマートファクトリー化(製造・生産などの高度化)を支援するサービスを発表した。「Digital Synergy Factory」のブランド名称で展開する。
スマートファクトリー化のイメージ(出典:マクニカ)
新サービスは、製造領域の中で設備設計と製造実行を対象に、生産設備の要件定義のコンサルティングからセンシングおよびデータ分析、AIアルゴリズムの開発、IT環境の構築までを手掛ける。データの取得・収集・分析と知見の蓄積、AIでの診断、全体最適に向けた改善活動といった一連のプロセスを通じて、製造効率化や製品歩留まりの改善、生産自動化といった高度な生産体制の実現を支援していく。
「Digital Synergy Factory」でのサービスイメージ
同日記者会見したイノベーション戦略事業本部長の佐藤篤志氏は、「アナログ半導体時代からの経験を生かし、センシングやデータサイエンス、ITにわたる人材リソースに強みがある」と述べた。自社開発するエッジコンサルティング端末「SENSPIDER」やAIクラウド基盤を組み合わせたフィードバックループを通じて、製造企業のスマートファクトリー化を支援していくとする。
同社は、これまで200件以上のAI関連プロジェクトを手掛けており、2019年1月にはAIの事業化、同年12月には「AI Research & Innovation Hub」も組織している。インダストリアルソリューション事業部長の阿部幸太氏は、「これまでの経験で言えるのは、スマートファクトリー最大の障壁は最初の導入」と話し、新サービスはスマートファクトリー化に着手するフェーズでの課題解決を図るものと説明する。
製造業におけるスマートファクトリーの取り組み例
「目的や課題は顧客ごとに全く異なるので、業務や工程での課題別にモジュール化したサービスを提供するイメージになる。スマートファクトリー化は段階的に取り組み、さまざまな方法を組み合わせていくことも必要で、顧客と伴走しながら推進していく」(阿部氏)
サービスは月額課金/ハイブリッドクラウド環境の「ベーシックサービス」を基本として、オプションメニューで組み合わせたり、個別開発などのカスタマイズ対応を選んだりもできる。一例では、生産設備の稼働状態をデータで監視して異常の兆候などを把握するためのサービスは、システム一式と導入や運用のサポートの構成で月額20万円から。外観検査の工程を自動化するサービスは同10万円からとなっている。
サービスメニューの一例
阿部氏は、「異常検知などからデータポイントを増やして品質改善を図り、ここ1年ほどは短納期化などのために生産全体の最適化を図る取り組みが拡大している。また、さまざまな方法を組み合わせてデータの活用精度を高めていく動きも広がっている」と話す。
同社は2025年度に150億円規模の売り上げを目指すという。