分散させずに一元管理--BCPを見据えたテレワークに必要な4要素

中沢仁 (ゾーホージャパン)

2020-05-12 06:30

 中長期的視点で事業を継続する事業継続計画(BCP)の視点から、テレワークに取り組む際に検討すべきポイントを勤怠管理、オフィスツール、ファイル管理、プロジェクト管理という4つの要素から考察してみます。

シンプルで透明性の高い勤怠管理が信頼関係を生む

 テレワーク導入と同時に大きな課題となるのが勤怠管理です。勤怠管理に関しては、2019年に施行された働き方改革関連法で労働時間に関する法令も整備されました。ポイントは以下の3点です。

  • 使用者か労働時間管理を行う人が直接始業時刻、終業時刻を記録する
  • タイムカードやPCの使用時間など客観的な記録をする
  • 記録は3年間保存する

 つまり、企業側が実際の勤務時間を反映することなく定時勤務とみなして処理したり、スタッフが実態とかけ離れた勤務時間を適当に申告したりするような、曖昧な管理をしてはいけないということです。これは、企業がスタッフに勤務時間を守らせるためというよりも、スタッフを理不尽な残業や不当な労働から守るという意味合いが強い法令です。

 テレワークに慣れていない間は、管理者は「うちのスタッフはちゃんと働いているだろうか」と心配になったり、スタッフもPCの前から離れられず、必要以上に拘束された感じにとらわれてしまったりということもあるでしょう。テレワーク時の管理者とスタッフの信頼関係の維持も重要なポイントです。

 最近では、PCの起動や特定ソフトウェアの利用時間の記録、GPSを使った行動管理などが可能勤怠管理専用のツールも数多く市場に存在します。表計算ソフトで勤怠管理のワークシートを作り、それをチャットツールで共有するという方法もあります。原始的な方法ではありますが、管理者を含めて関係者全員に共有できるため、コストもかからずシンプルで透明性の高い方法といえます。

 特にテレワーク時は、シンプルで透明性の高い勤怠管理によって法令を順守しつつ、会社とスタッフの双方が新たな信頼関係を築くことが、健全な組織運営の鍵となります

ライセンス料とライセンス管理がネックに

 文書作成、表計算、プレゼンテーション資料の作成など、オフィスツールの利用も課題の一つです。オフィスツールの標準ともいえる「Microsoft Office」、とりわけクラウド対応している「Microsoft 365」を利用すれば多くの課題は解決できるかもしれません。

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