
UiPath ソリューション本部 エバンジェリスト 大森俊秀氏
さらにUiPathのマーケットプレースである「UiPath Connect」では、ExcelやOutlook、ウェブブラウザーなど業務で利用するアプリケーションを対象にした「StudioXテンプレート集」を6シナリオを用意し、今後もその数を増やしていくという。
同社は「エンドユーザーもStudioを使って開発している。だが、難しいと感じているお客さまの要望に応えるため、グローバル製品として開発した。『頼れる部下』と呼べる製品」(大森氏)とStudioXが業務部門でのRPA開発支援ツールだと位置付けた。
Automation Cloudの1サービスとして展開するSaaS版Orchestratorは、コスト削減や社内のクラウド化を推進する企業向けサービス。オンプレミス版のOrchestratorはサーバー構築や保守などを必要とするが、SaaS版はセキュリティパッチの自動適用や繁忙期のスケール変更に伴う保守作業が不要になる。利用形態はオンプレミス版Orchestratorに接続する端末数に応じてサブスクリプションライセンスを購入する仕組みだ。
稼働するロボット数や開発環境に応じて費用は増減するが、クラウド上でRPAプラットフォームの導入から運用保守まで自動化できる利点は大きい。「StudioXとSaaS版Orchestratorのスムーズな連携で統制の取れた現場主導の自動化を実現」(大森氏)するため、前述したUiPathパートナー共創プログラムを推進する。
すでにSaaS版Orchestratorを先行利用するオープンハウスは、G SuiteとAPI連携するワークフローを開発し、物件情報の収集や登録、配信を自動化した。その効果は年間3万4773時間の削減につながったという。
UiPath製品の活用事例としては、日清食品や茨城県庁の例も興味深い。
日清食品は得意先への出荷案内リストを手動で仕分けし、出荷先別にファクス送信していた。だが、在宅勤務への移行に伴い、出荷案内リストをPDF化してリモートでファクス送信に変更。当然ながらいずれも煩雑かつ正確性を求められる作業だが、この業務をRPA化することで、月間の在宅業務時間170時間の削減を見込んでいる。
茨城県庁は新型コロナウイルスに伴う感染症拡大防止協力金の申請書をシステムに手動入力していた。しかし「約20人のスタッフで数万件への対応を実現するため」(原田氏)、紙の申請書を、人工知能技術を応用した光学文字認識(OCR)でデジタル化し、データをシステムに自動記入。最後の担当者が視認することで「1処理あたり約8割も速くなった」(原田氏)という。