RPAで年407時間削減、操作ミスも低減--庁舎統合で業務自動化を進める南砺市

藤代格 (編集部)

2019-09-12 07:15

 富山県南砺市が分庁舎の統合を機にロボティックプロセスオートメーション(RPA)ソフトウェア「UiPath」を導入。4つの対象業務で本番稼働しており、年間約407時間の削減を見込むという。9月10日、開発、提供するUiPath(千代田区)が発表した。

 2004年に城端町、平村、上平村、利賀村、井波町、井口村、福野町、福光町の8つの町村が合併、誕生した南砺市。2018年11月の市議会で、4つある分庁舎を2020年7月までに一つに統合する条例案が可決されたという。

 統合に応じて可能になる分庁舎ゆえに非効率だった業務の変更を、行政でしかできない仕事へとシフトさせる契機と捉えたという。職員の仕事のうち誰でもできる定型業務を自動化するプロジェクトに着手したとしている。

 12月に立ち上げ、対象として洗い出した30業務をさらに選定。短期的な効果検証と組織内での浸透率という観点から、年次業務よりも日次と月次の業務を優先。定量的な視点での投資効果、ロボットを動かす“シナリオ”の構築難度といった観点を加えた3つを基準とし、最終的には4業務に絞ってロボットを開発。2019年4月から本番稼働を開始したとしている。

 会計課の日次業務である税金収納消込業務では、年間154時間かかっていたものを135.7時間、88.06%削減したという。そのほか、支払データ作成業務を107.6時間、延長保育料入力業務を103.2時間、保育料納付書作成業務を61.4時間削減。合わせて407.9時間、平均56%の削減につながったという。

 毎日の繰り返し業務の削減となり、担当者が休暇を取得しやすい環境を構築。地方自治体では一般的に約3年周期で人事異動が発生するため、繰り返される業務引き継ぎの簡易化にも期待できるという。ペーパーレスによる用紙代、印紙代の削減、操作ミスなどの人為的リスク低減による作業品質の向上、二重三重のチェック作業が不要になることでの心理的効果などもあるとしている。

 導入や活用は、TISインテックグループのインテック(富山県富山市)が支援。RPAによる実業務自動化の本稼働としては県内初の事例になるという。

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