NECは、横浜銀行がマネーロンダリングや特殊詐欺といった疑わしい取引のモニタリング業務を高度化するため、同社の「AI不正・リスク検知サービス for Banking」を導入したと発表した。同サービスは、10月に稼動を開始する。
同サービスでは、取引・属性・口座の各種条件に基づく検知ルールにより、詳細調査が必要となる口座を抽出する「一次調査」を人工知能(AI)が実施し、取引のリスク度合いをスコアリングする。これにより、詳細調査の対象となる口座数を減少させることができるという。
同サービスには、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つである異種混合学習技術を活用している。この技術はホワイトボックス型AIで、審査業務においても、高度な予測精度と予測に至る根拠を可視化する解釈性を両立している。また、AI活用プラットフォーム「NEC Advanced Analytics Platform」と「業務分析テンプレート」を活用することで、AIの短期間かつ効率的な導入が可能だとしている。
AI不正・リスク検知サービスの概要(出典:NEC)
NECと横浜銀行はサービス導入に先立ち、2019年5月から2020年1月までの横浜銀行口座におけるモニタリング対象取引の情報を使用した実証実験を実施。その結果、詳細調査の対象となる口座数を従来比で30〜40%減少させることができた。また、人間では気づきにくい口座の動きをAIが認識し、リスクの高い口座として予兆的に認識できた事案もあり、マネーロンダリングや特殊詐欺などの各種金融犯罪の未然防止に寄与することが期待される。