がん研究会有明病院(がん研有明病院)と日立製作所(日立)は、日立のコミュニケーションロボット「EMIEW(エミュー)」を来院者の安全確保に活用し、7月1日からその効果を検証している。第1段階では、新型コロナウイルス感染症対策として病院の正面玄関で来院者への注意喚起とサーモカメラを用いた体温チェックを行う際、同ロボットが案内業務を補助するとともに、医療従事者の負担軽減効果を評価する。
EMIEWの導入前は医療従事者が4人体制で案内していたが、導入後の現在は2人で行っており、担当者の動線といった運用上の課題も含め、評価を進めているという。
同ロボットは、リモートブレイン構成のロボットIT基盤と連携することで、柔軟な拡張と業務システムとの連携が可能。多言語会話と自律走行機能を有しており、公共空間などの雑音環境でも音声を認識できるという。これまで駅や空港、商業施設など、さまざまな施設において運用されている。
EMIEWの活用シーン(出典:がん研有明病院、日立)
がん研有明病院では、1日当たり約1800人の外来患者とその家族が来院するため、現在は事務職員や看護師をはじめとした医療従事者は来院者の体温や症状チェック、手指衛生の案内などに多くの時間を費やしている。そのため、新型コロナウイルス感染症の流行前と比べて負担が増大しているという。
この研究は2021年3月末まで実施される予定で、第2段階ではサーモカメラとEMIEWが連動し、発熱が検知された来院者には同ロボットが注意を促すなど、来院者の状況に応じた案内を実証する。今後、研究によって得られたデータや課題を基に、EMIEWが担う業務を拡張していく予定だという。