新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受け、かねてから大きな負担を抱えていたIT部門の負荷を軽減したり、テクノロジーを企業の日常により溶け込ませるような取り組みに関心が集まっている。またテクノロジー投資計画では、ローコード/ノーコードやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の採用が増加している。これらは、3~6月にかけてのテクノロジー投資計画の変化を調べるために、KPMGとHFS Researchが900人のテクノロジー幹部を対象に実施した調査で明らかになった内容だ。
3月に新型コロナウイルス感染症の第一波が世界を襲った際、あらゆる組織はIT投資計画を縮小、凍結した。しかし、企業やテクノロジーのリーダーが体制を立て直そうとするなか、発展していく上で必要となる、迅速なV字回復をもたらす特定のテクノロジーに対する投資の必要性が認識されるようになった。こういったテクノロジーには、自動化や人工知能(AI)、5Gといった新興技術、さらにはブロックチェーンまでもが含まれている。
KPMGとHFS Researchの調査は、2段階で実施された。危機が最初に訪れた3~4月、それに続く5~6月だ。危機の中、クラウドの導入が大きく増加した。56%がクラウド移行は「絶対に必要」なものとなったと回答している。レポートの共同著者であるKPMGのCliff Justice氏、HFSのPhil Fersht氏は、「小規模なデータセットの段階的な移行ではなく、多くの企業が、全体的な機能のデータをクラウドに大規模に移行したいと考えている」と述べている。
しかしITリーダーらは、マルチクラウドの配備より、ハイブリッドクラウドの導入を重視するようになっているという。既存の資産やインフラの活用を優先する必要があることを反映しているためかもしれない。Justice氏とFersht氏は「多くの企業は、サービスが滞るリスクを低減したり、自社のネットワークや職務上のワークロードを拡充したり、利用できる最善のサービスを活用するために、今後この構造的なクラウドのアプローチを採用する計画だ」と述べている。
ローコード開発やノーコード開発に対する関心は、パンデミックが始まて以降、10%から26%に上昇した。リサーチャーらは、自動化という大きな観点でソリューションをもたらすローコードツールは、「今回実施した2回の調査の間で特に大きく採用を伸ばした」とし、「ローコードの自動化ソリューションによって企業は、ビジネス環境の変化に適応できるようになる。複雑なプロセスの真の変革や、大部分の作業の自動化には、複数のテクノロジーを組み合わせる必要がある。ローコード開発プラットフォームは、企業が真の大規模デジタル変革を推進していけるようにするための、まさに戦略的な取り組みのためのプラットフォームだ」と説明している。
コンテナやマイクロサービスなど、フレキシビリティーやアジリティーを重視するテクノロジーへの投資も上昇している。新型コロナウイルス危機の最中に、コンテナへの投資は、13%から23%、マイクロサービスへの投資は、11%から18%へと増加している。
投資が増加した分野の主な数字は以下の通り。
ハイブリッドクラウド
- 3~4月:25%
- 5~6月:45%
コンテナ化
- 3~4月:13%
- 5~6月:23%
マイクロサービス
- 3~4月:11%
- 5~6月:28%
ローコード/ノーコード開発プラットフォーム
- 3~4月:10%
- 5~6月:26%
RPA
- 3~4月:27%
- 5~6月:31%
投資が減少した分野の主な数字は以下の通り。
ビジネスプロセスマネジメントソフトウェア
- 3~4月:44%
- 5~6月:17%
マルチクラウドデプロイメント
- 3~4月:51%
- 5~6月:15%
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。