同社は今回のハイプ・サイクルで、次の5つのトレンドを取り上げている。
デジタル・ミー
テクノロジーと人の統合が進みつつあり、デジタルパスポートやソーシャルディスタンシングテクノロジーなど、人をデジタルで表現する新たな機会が生まれている。人のデジタルツインは、物理空間とデジタル空間の両面において人を表現できる、個人のモデルを提供する。人がデジタル世界とやりとりする方法も、画面やキーボードにとどまらず、インタラクションモード(音声、視線、ジェスチャーなど)の組み合わせを使用したり、場合によっては人間の脳を直接変えたりするようになっている。
注目すべきテクノロジー例は、ソーシャルディスタンシングテクノロジー、ヘルスパスポート、人のデジタルツイン、シチズンツイン、マルチエクスペリエンス、双方向ブレインマシンインターフェース(BMI)。
コンポジットアーキテクチャー
コンポーザブルエンタープライズは、柔軟なデータファブリックに基づくビジネスケイパビリティーパッケージによって、急速に変化するビジネスニーズに対応できるよう設計されている。コンポジットアーキテクチャーは、ビジネスケイパビリティーパッケージで構成されるソリューションによって実装される。組み込みのインテリジェンスは分散されており、エッジデバイスやエンドユーザーなどの外部にまで拡張されている。
アジャイルな組織になるためには、コンポーザブルエンタープライズ、ビジネスケイパビリティーパッケージ、データファブリック、プライベート5G(第5世代移動体通信)、組み込み型AI(人工知能)、エッジにおける低コストのシングルボードコンピューターなどのテクノロジーを注視すべき。
フォーマティブAI
状況の変動に応じて動的に変化できる、一連の先進的なAIと関連テクノロジーを指す。こうしたテクノロジーの一部は、AI対応の開発ツールを用いて新規ソリューションを生み出しているアプリケーション開発者やユーザーエクスペリエンス(UX)設計者に利用されている。また、長期的に適応するために動的に進化できるAIモデルの開発に利用されるテクノロジーもある。最も高度なテクノロジーは、具体的な問題の解決を目的として全く新しいモデルを生成できる。
AIの境界線の探求を目指す企業は、AI拡張型設計、AI拡張型開発、オントロジー/グラフ、スモールデータ、コンポジットAI、アダプティブな機械学習、自己教師あり学習、生成的AI、敵対的生成ネットワークを検討すべき。
アルゴリズムによる信頼
責任ある権限に基づく信頼モデルは、データ、資産ソース、個人とモノのアイデンティティーについてのプライバシーとセキュリティを確保するために、アルゴリズムによる信頼モデルに転換しつつある。アルゴリズムによる信頼は、組織が顧客、従業員、パートナーの信頼を失うリスクとコストにさらされないよう保証する上で役立つ。
アルゴリズムによる信頼に関連する先進テクノロジー例は、セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)、差分プライバシー、来歴の認証、個人所有アイデンティティーの業務利用(BYOI)、責任あるAI、説明可能なAIが挙げられる。
シリコンの先へ
40年以上にわたってIT業界を導いてきたのは、「ムーアの法則(高密度集積回路のトランジスタ数は約2年ごとに2倍になる)」だった。テクノロジーがシリコンの物理的な限界に近づく中、新たな先端素材がテクノロジーの加速と小型化を可能にする画期的な機会をもたらしている。
検討すべき重要なテクノロジー例は、DNAコンピューティング/ストレージ、生物分解性センサー、カーボンベーストランジスターが挙げられる。