アリババクラウド・ジャパンサービスは8月19日、日本のメディアを対象にしたオンラインでのサービス説明会で、SAPシステムの構築や移行などに対応するサービスを中国以外の地域でも開始したことを明らかにした。
説明を行ったシニアソリューションアーキテクトの奥山朋氏によると、アリババクラウドはSAPと2016年に戦略的パートナーシップを締結し、SAP HANAなどのプラットフォーム認定を取得。現在までにアリババクラウドの基盤を用いたNetWeaverやB1、Marketing Cloud、Analytics Cloudなどのサービスも提供している。

SAP関連サービスの概要
奥山氏は、「SAPを利用する大企業ではハードウェアの更新や運用などのコストに大きな課題を抱えおり、クラウドで解決したいと考えている。これまでは中国で対応していたが、SAPの信頼も獲得しており、2020年から日本を含むアジアでも展開することになった」と述べた。
同社では、これまでにHANAデータベースを円滑に利用するための2TBメモリーを持つ仮想マシンインスタンスやバックアップソリューション、専用線接続といった機能やメニューを提供しているという。奥山氏は、SAPの認定による信頼性に加え、最新世代のハードウェアやテクノロジー、アーキテクチャーの採用により、コストパフォーマンスに優れている点も競合優位性に挙げた。
中でもシステムの自動構築や自動運用を推進し、テンプレートを用いた容易かつ短時間での構築メリットを強調する。要件などに応じて多様なテンプレートを用意しているといい、例えば、高可用構成のSAP HANAシステムを40分程度で構築できるとしている。この他に、複数リージョンによる災害対策や独自のバックアップツール、稼働状況の可視化といった取り組みなども行っているとした。

自動化を推進するテンプレートを拡充させているという
また、グローバルでの協業に基づくパートナー体制も構築しているとし、システム構築・運用やコンサルティングサービスなども提供するという。今後は日本でもパートナー開拓を進める。奥山氏は、「クラウドを使ってSAPシステムを低コストに利用するニーズは日本でも高まっている。中国での豊富な実績のもと最新のIaaSを生かした安価で安心できるサービスを日本企業に提供したい」とアピールした。
併せて同日には、リレーショナルデータベースサービス「ApsaraDB for PolarDB」を拡張した「Global Database Network」サービスを日本でも開始したほか、「アリババクラウドセキュリティ・ホワイトペーパー国際版2.0」の日本語版も公開している。

Global Database Networkの概要