人事管理を中心としたHCM(Human Capital Management)をクラウドサービスで提供するWorkdayが、パートナー企業との提携拡大に注力している。その動きから、HCM市場競争の行方を探ってみると、新たな勢力争いの構図が見えてきた。
IBM、Microsoft、Salesforceと相次いで提携強化
Workdayは米国時間8月12日、IBMとの提携強化を発表した。ウィズコロナからアフターコロナに向けて従業員の職場復帰を計画する企業を支援するため、スケジュールを立ててモニタリングするソリューションを、両社のサービスを組み合わせて提供しようというのが強化内容である。
詳しい内容は発表資料をご覧いただくとして、WorkdayとIBMは2016年8月にグローバルで戦略的パートナーシップを結んでおり、2019年6月には両社の日本法人も国内でのリセラー(再販)契約を締結している。
この時の日本法人同士の共同記者会見を受けた本連載記事(2019年7月4日付け「ワークデイとリセラー契約を結んだ日本IBMの思惑」)もあるので参照していただきたい。
ただ、この動きだけならば、「IBMがWorkdayのHCMを推している」だけの話だが、実はWorkdayは米国時間5月27日にもパートナーとの提携強化で興味深い2つの発表を行っている。1つがMicrosoft、もう1つがSalesforce.com(以下、Salesforce)との関係である。
いずれも上記のIBMとの提携強化と同様、コロナ対策がきっかけだが、MicrosoftとはIBMと同様にグローバルでの戦略的パートナーシップを結んだ格好だ。Microsoftとの関係は関連記事、Salesforceの関係は発表資料をご覧いただきたい。
Workdayが8月25日にオンライン形式で開催した日本向けのプライベートイベント「Workday Elevate Digital Experience」においても、同社APJ(アジア太平洋地域および日本)担当プレジデントのDavid Webster(デビッド・ウェブスター)氏が主催者スピーチで、IBM、Microsoft、Salesforceとの提携強化について説明し、「当社は今後もなお一層、パートナーエコシステムの拡充に尽力していく」と力を込めた。(写真1)
「Workday Elevate Digital Experience」でスピーチするWorkday APJ担当プレジデントのDavid Webster氏