調査

企業データの68%は未活用--シーゲイトの技術レポート

藤本和彦 (編集部)

2020-09-02 07:00

 米Seagate Technologyが7月に発表したテクノロジーレポート「データを再考する:より多くのビジネスデータを有効活用する - エッジからクラウドへ」によると、企業が利用できるデータのうち、68%が活用されていないという。

 このレポートは、Seagateの委託により、調査会社のIDCが実施したもの。世界各国1500人(アジア太平洋および日本500人、欧州475人、北米375人、中国150人)の経営幹部などを対象に調査し、データ管理の課題と解決策について説明している。

 データの急増に伴い、データ管理がますます重要となっており、レポートでは「今後 2年間で企業データの生成量は年間42.2%で増加すると予測」している。その一方で、企業が利用できるデータのうち、活用されているのはわずか32%にとどまり、残りの68%は活用されていないままになっているという。

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 データの有効活用を妨げている要因として挙げられる上位5つの課題は、(1)収集したデータを利用できるようにする、(2)収集したデータのストレージを管理する、(3)必要なデータを確実に収集する、(4)収集したデータのセキュリティを確保する、(5)異なるサイロに収集されたデータを利用できるようにする――となっている。

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 また、マルチクラウドやハイブリッドクラウドでのデータ管理が、今後2年間でデータ管理に関する最大の課題になると見込まれるという。アンケート回答者の3分の2は、データセキュリティが不十分であると述べ、そのため効率的なデータ管理を検討するに当たり、データセキュリティを必須の要素としている。

 さらに、2025年までには、アナリティクス、人工知能(AI)、深層学習(ML)にけん引され、44%のデータはコアやエッジで生成されるようになるという。世界全体のデータの約80%はコアとエッジに保存され、両者を行き交うデータを管理することも重要になるとする。

日本シーゲイト 代表取締役社長の新妻太氏
日本シーゲイト 代表取締役社長の新妻太氏

 こうしたデータ管理の懸念に対する解決策として、日本シーゲイト 代表取締役社長の新妻太氏は「DataOpsの構築」を挙げる。IDCでは、DataOpsを「データの生成者とデータの使用者をつなぐ手法」と定義する。それによって、データを中心としたコラボレーションの実現やイノベーションの加速を行う仕組みを確立することだという。

 新妻氏によると、Seagateは創業以来、「データの可能性(Data is Potential)」を理念とし「データの可能性を最大化すること」をミッションとしているという。40年にわたって顧客の課題に対応した戦略を展開しており、近年では「増大するエクサバイト(EB)規模の需要」「SLA(サービス品質保証)の維持」「TCO(総保有コスト)の削減」へのニーズが高まっている。

 ハードディスクドライブ(HDD)の老舗であるSeagateでは、最先端のディスクドライブ技術でこうしたニーズに対応していく。具体的には、HDDを大容量化する技術として「HAMR(熱補助型磁気記録)」を挙げる。これは10年にわたる研究開発によって実現した技術で、2.6年ごとに容量を倍増可能という。もう一つは「マルチアクチュエーターディスクドライブ」になる。こちらは2つのアクチュエーターを使った並列データ転送技術でIOPS(データの入出力処理)を倍増させることができるというものだ。

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 近年は、HDDだけでなく、エンタープライズ向けのストレージシステムにも注力している。モジュラー型ストレージエンクロージャーやハイブリッド/オールフラッシュアレイ、アプリケーションアプライアンスなどのデータセンター向けシステムを拡充させている。

 また、モジュール式のストレージシステム「LYVE DRIVE」をCES 2020で発表している。これは、エンドポイントからエッジ、コアへのデータ移動を効率化する目的で開発されたものになる。その他にも、テープに格納したアーカイブデータをクラウドに移行するサービスや最短2日でデータを復元する「Lyve Labs」、消失したデータを回復するリカバリーソフトウェアなども提供する。

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 新妻氏は「現在のビジネス環境で価値を生み出すのはデータ。貴重な資産としてデータを保護することが、これまでになく重要になっている」といい、「連邦情報処理規格(FIPS)140-2 レベル2」など最も厳しいとされる政府基準に準拠している最高レベルの暗号化技術を提供している点もアピールした。

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