IBM i (AS/400)の歴史と日本ユーザーの現状
国産オフコンに対抗したIBM iの歴史は1969年の「System/3」の登場に遡る。この小規模ビジネス用に開発されたシリーズは、「System/32」、「System/34」、「System/36」と進化を重ね、1988年、「System/38」をベースとして、System/36を結合させ、IBM iの前身である「AS/400」がリリースされた。System/38は、1979年にリリースされたリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)がシステムの中核部分に組み込まれているデータベースマシンであり、前述のSystem/3シリーズとは一線を画すマシンである(System/36は1983年に登場している)。
国産オフコンとの違い
- 撤退は無く、製品ロードマップが数年先まで発表されている
- オープンシステムへの変革を遂げている(今後の記事で詳細をご紹介する)
- 国産汎用機やオフコンのリプレース先として選択されている
- 中小、中堅企業だけでなく、地上波全国ネットのテレビCMに出るような有名企業が多数継続利用している
- RPGという言語で開発したプログラム資産が大半を占めるが、その技術者は市場で高齢化、激減している(COBOLよりも圧倒的に人口が少ない)
総じて、日本のユーザーは、プラットフォームの問題より、その維持を担う人的基盤の問題が大きい傾向にある。
コロナ禍でも差し迫っている問題とは?
IBM iユーザーには前述のように人的基盤の問題があるがRPG言語対応の問題だけでなく、レガシー共通の課題が存在している。
課題
- アプリケーションに対する知識がベテラン技術者に集中
- プラットフォームの維持に関する知識もベテラン技術者に集中
- ドキュメントは残っていないか、長年更新されていない
- 後身の若手エンジニアが育っていない
- ベテランの引退までに年数が無い、もしくは定年延長でシステム維持してもらっている
基幹システムを稼働させているユーザーは、コロナ禍とは言え、ベテラン技術者が在職の内に課題解決をする必要があり、先送りできない問題となっている。
では、他のプラットフォームに移行することを、無理してでも、すぐ進めれば良いのか?
次回は「ビフォアコロナ時代のレガシーシステム近代化で発生した事案の例」と題し、モダナイゼーションの落とし穴について過去の事例から紐解く。
(第2回は10月中旬にて掲載予定)
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。