freeeは10月21日、記者説明会を開催。9月下旬に実施した「スモールビジネスのITシステム活用に関するアンケート調査」結果と自社サービスのAPI利用事例を解説した。
中堅中小企業の半数以上が業務に必要なシステム導入に意欲的で、システム連携に欠かせない「API連携でシステム導入を検討していることが明確になった」(freee プラットフォーム部 部長 前村菜緒氏)という。
freee プラットフォーム部 部長 前村菜緒氏
freeeが9月25日から5日間、国内の従業員300人以下規模の中堅中小企業の経営者や従業員4463人を対象にした調査結果によれば、54.2%の経営者が業務に必要なシステムを導入したいと考えている(n=450)。内訳を見ると「積極的に導入したい」と回答したのは19.3%、「必要に応じて導入」と回答したのは34.9%。
興味深いのは都市圏とそれ以外の地域の回答だ。都市圏は「積極的に導入したい」が18.4%、「必要に応じて導入」が34.7%という結果だが、地方は「積極的に導入したい」が20.1%、「必要に応じて導入」が35%と続く。前村氏は「都市圏と地方で差がなく、全国的に経営改善に取り組む意欲を持つ経営者が多い」と分析した。
51の業務領域を対象に調査しているが、導入するシステムは表計算・グラフ作成(61.4%、n=3473)、給与計算(56.7%、n=2989)、グループウェアもしくはメール(52.4%、n=3442)と続く。
また、昨今のコロナ禍でオンライン会議を導入する企業は多いものの、中堅中小企業は従業員規模が大きいほど導入率が高まる結果が分かった(n=3617)。300人未満は63.4%(n=949)、100人未満は48.8%(n=687)、50人未満は32.9%(n=1072)、10人未満は21.2%という導入率である。同じくコロナ禍でリモートワークを実施した割合は約38.8%(n=2997)。
システム導入を見送った割合は51.5%と大半を占めたものの、新システム導入意向は24.3%、検討中は23.8%(n=1166)と能動的だ。さらにリモートワークを実施した企業(n=1166)は他のシステムと容易に連携できることを重視し(17.8%)、クラウドを優先した割合は15.5%と、リモートワークを実施しなかった企業(n=1831)よりも大幅に多い。前村氏は「他システムとの連携はAPIが重要。API連携でシステム導入を検討していることが明確になった」と解説した。
freee デベロッパーリレーションズ 長内毅志氏
APIについて、freee デベロッパーリレーションズ 長内毅志氏は「あらゆる新ビジネスの創造がスモールスタートで可能」とメリットを表現する。APIはソフトウェアでOSや他のアプリケーションの機能を参照する際に呼び出すが、現在はインターネット経由でデータベース(DB)を参照したり、SaaSの機能を呼び出したりするRESTful APIを指すことが多い。
たとえばRESTful APIが普及する以前のグルメ系雑誌やムックは、自社で飲食店情報をDBに格納し、紙媒体の作成や広告ビジネスに利用していた。だが、現在はGoogleやぐるなびといった飲食系データを持つサイトのAPIを呼び出すことで、各社が持つデータを借用し、新ビジネスを小さく始めることが可能となっている。
長内氏はAPIの可能性の例として「読書メーター」を挙げた。同サービスは、もともとは開発者がAmazon APIを利用して個人的に立ち上げたものだが、現在はブックウォーカーが運営する事業として拡大したと説明した。