Boston Consulting Group(BCG)が米国時間10月29日に公開したレポートによると、デジタル変革プロジェクトのうち、目標を達成した、あるいは計画以上の成果を上げたプロジェクトは30%にすぎないという。
また、何らかの価値を生み出したものの目標には届かず、達成できた長期的な変革は限られていたというプロジェクトは44%だという。さらにBCGは、目標の50%に満たない価値しか生み出さず、持続的な変化をもたらせなかったプロジェクトは26%だとしている。
これらの結果を考え合わせると、新型コロナウイルスのパンデミックとニューノーマルにおいて重要となるデジタル変革への取り組みでは、何らかの工夫が必要となるはずだ。BCGはレポートの中で、デジタル変革への取り組みを加速させる計画を有する企業が80%以上にのぼっているとしている。
BCGによると、変革に向けたほとんどの取り組みは、出足こそ好調なものの、最終的には焦点を失ってしまっている。レポートでは「計画全般に全員を参加させようとすると、変革の目的に対する妥協が生まれ、焦点が失われやすくなる。たいていの場合、そこから問題が発生する」と説明されている。
ただ、いくつかのベストプラクティスを実行すれば、その成功率を30%からおよそ80%に引き上げることができるという明るい材料も示されている。
成功するための要素は以下の通りだ。
- 明白な目標と業務上の成果を、理由や対象、方法などとともに掲げた戦略。
- 最高経営責任者(CEO)から中間管理層に至るまでのアカウンタビリティーに対するコミットメント。BCGは、中間管理層は見過ごされがちだと述べている。
- 高い能力を有する人材の特定、そのリソースの確保。
- 障害への迅速な対応、変化するコンテキストへの適応。部門を横断し、ミッションを重視した「早く失敗して学ぶ」という行動の変化を広範な組織に促進すること。
- プロセスや結果に関する明確な評価指標と目標を、十分なデータの可用性とデータの質を確保して定め、進捗を監視すること。
- モジュラー型のテクノロジーとデータプラットフォームを業務主導で活用すること。
BCGの研究は、数年にわたってデジタル変革に関して世界をリードする企業70社と協業しているBCGの体験から得られた内部のデータと、変革の体験について実施した詳細な調査でシニアエグゼクティブ825人の回答から得られた外部のデータに基づいている。
BCGは、デジタル変革を成功させる6つの要素について次のように述べている。
まず、経営管理者は計画や準備、実行の段階で、6つの各要素に十分に対応する必要がある。そして、これら6つの要素すべてに取り組むことが重要となる。3つや4つ程度しか取り組んでいない企業に成功は訪れない。考えられる可能性をすべて考慮したとしても、これら6つの要素ほど影響の大きなものは存在していない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。