MicrosoftのLinux Systems Groupはさまざまな製品を開発している。その中には顧客やパートナー向けのものもあるが、他は社内用だ。例えば「CBL-Mariner」は、同社が社内で使用するLinuxディストリビューションであり、同社のクラウドインフラやエッジ製品・サービスに使われている。Microsoftは先日、CBL-MarinerをGitHubで公開した。

提供:Microsoft
筆者がCBL-Marinerの存在を知ったのは先日のInfoWorldによる報道だ。InfoWorldが指摘しているように、CBL-Marinerは公開されたが、基本的にはMicrosoft社内での利用を意図したディストリビューションである。InfoWorldによれば、この軽量のLinuxディストリビューションはMicrosoftのAzure for Operatorsユニットが推進する5G(第5世代移動体通信システム)/エッジネットワーク計画に組み込まれる可能性がある。また、LinuxコンテナーのホストとしてはこれまでRed Hatの「CoreOS」が人気だったが、最近非推奨となったため、ユーザーは代替品を必要としているとInforWorldは指摘する。Microsoftは自社のクラウドサービスで使用するディストリビューションを独自に開発することで、ホストやコンテナーインスタンスのアップデートや管理を独自のスケジュールで実行できるようになった。
Microsoftは4カ月前にGitHubでCBL-Marinerの最初のコミットを実行した。CBL-MarinerはMITライセンスの下で配布されている。
筆者はMicrosoftに対し、CBL-Marinerは現在、どのMicrosoft製品、サービスに利用されているか、顧客やパートナーがCBL-Marinerを使用することを期待しているかをたずねた。Microsoftの広報担当者は、この件について新たに開示できる情報はないと述べた。
CBLは「Common Base Linux」の略だ。MicrosoftはCBL-Marinerを、Azure Stack HCI上に実装されたAzure Kubernetes Serviceにおいて、コンテナー用のベースLinuxとして使用している(リンクを教えてくれたSimon Bisson氏にあらためて感謝したい)。
CBL-Marinerは、Microsoftが開発し、Linux Systems Groupが公開しているLinux関連プログラムの一つだ。他にも、Windows 10に組み込まれている「Windows Subsystem for Linux version 2(WSL2)」、Hyper-Vゲストとして最大のパフォーマンスを発揮するように設計されたAzure用のLinuxカーネル、Enterprise and Securityチームが提案するLinuxのセキュリティモジュール(LSM)「Integrity Policy Enforcement(IPE)」などがある。
Microsoftでは他にも複数のLinux関連プロジェクトが動いている。例えば、LinuxベースのマイクロコントローラーであるAzure Sphereと一連のセキュアなIoTサービス、Open Compute Project(OCP)に関する取り組みの一環としてリリースされた、オープンソースのネットワークスイッチ用オペレーティングシステム「SONic」などだ。
Microsoftは11月18日に「Open Azure Day」をオンラインで開催する。この1週間に、同社がこれらのプロジェクトに関する新情報を発表するかは不明だが、今後の動きに注目したい。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。