Microsoftは、2021年に新しいデータセンターリージョンをスウェーデンに開設する。同社の気候変動に対する取り組みに沿って、同社で最も先進的でサステナブルなデータセンターリージョンの1つとして、スウェーデンを選択したとしている。
Microsoftは、2025年までにすべての建物やデータセンターの再生可能エネルギー使用率を100%にすると公約している。同社はスウェーデンでもこの目標を達成するため、スウェーデンの施設のエネルギー消費量と、再生可能エネルギーの生成量をマッチさせる方法について透明性を高めると発表した。欧州の電力会社Vattenfallと共同で開発した新サービスを利用する。
MicrosoftとVattenfallは、電力消費と再生可能エネルギーのより正確な対比を可能にする、「24/7 Matching」ソリューションというテクノロジーを利用している。このテクノロジーは1年にわたり、Vattenfall本社と、Microsoftのスウェーデンの拠点の双方でパイロット運用されている。
Microsoftは同社のデータセンターにおける電力消費の影響を低減するために、「Guarantees of Origin」(GO)と呼ばれる発電源証明を欧州で購入している。GOは、建物などの長期間の平均的な電力消費量に基づいて算出される再生可能エネルギーの量を証明する。
その算出プロセスは、短期間での需要変動を考慮していない。それでも、太陽が顔を出さない場合や、風が弱い場合、1日という期間の中で代替電力源からの電力供給が必要となる可能性もある。両社によると、既存の消費電力監視手段ではこういった詳細を把握できないため、データセンターにおける時間単位でのエネルギー消費に関して、その発電源を正確に知る方法は実質的に存在しないことになる。
Microsoftのクラウドオペレーションおよびイノベーション担当コーポレートバイスプレジデントNoelle Walsh氏はブログ記事で次のように述べている。「再生可能なエネルギー源の確保、コミットメントに向け、われわられは驚くほど前進してきたが、エネルギー源と消費したエネルギーの量をモニタリングする上で根本的な欠点がある。また、需給関係が不透明であれば、市場の力が働いて、再生可能エネルギーの需要が再生可能なエネルギー源によって供給されるようにすることができない」
Microsoftは透明性を高めるため、Vattenfallと共同で、IoT(モノのインターネット)デバイスを利用して、電力需要と再生可能エネルギーの生成量を時間単位でマッチさせる技術を開発した。この技術は、1時間ごとに再生可能なエネルギー源から生産されたエネルギー量を測定するとともに、スマートメーターによって建物内の消費電力量を測定し、ある建物内におけるエネルギー消費について全容を示す。
Microsoftによると、スウェーデンの新しいデータセンターリージョンは、Vattenfallの24/7サービスを利用して、再生可能エネルギー使用率を100%にするMicrosoftの取り組みが、年ベースなどでの平均値ではなく、1時間ごとの消費量に効果的に対応しているかどうかの知見を得られる初のハイパースケールクラウドリージョンとなる。
このデータセンター内には、サーバーや関連部材によって生じる「電子廃棄物」を削減する手段としてMicrosoftが設計した「循環センター」も設けられる。循環センターは、機械学習を利用してデバイスや部品をより分け、できるだけ多くのハードウェアを再利用する。同社は、この技術によって、世界全体の事業で部材を別の目的のために再利用する割合が2025年までに90%に上昇すると想定している。
Microsoftがスウェーデンに新しく開設する持続可能なデータセンターリージョンは、イェブレ・サンドビーケンとスタッファンストルプに建設され、欧州の顧客に現地で「Microsoft 365」「Microsoft Azure」「Dynamics 365」「Power Platform」などのサービスを提供する。
Microsoftは欧州でオーストリア、フランス、ドイツ、アイルランド、英国などにデータセンター拠点を擁しており、スウェーデンのリージョンが新たに加わることになる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。