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古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」

事業目標に対するIT施策の検討方法と解決策

古賀政純(日本ヒューレットパッカード)

2020-12-25 07:00

 こんにちは。日本ヒューレット・パッカードのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストの古賀政純です。前回は、データ活用の事業課題とベンダーが提示する施策について解説しました。今回は、CIO(最高情報責任者)が提示する事業目標に対するIT施策の検討方法と解決策について簡単に紹介します。

CIOが掲げる具体的な事業目標とIT施策の方針

 前回も説明したように、デジタルトランスフォーメーション(DX)実現に向けての事業目標は、検討会議においてCIOから提示される場合が少なくありません。企業の上層部は、ビジネスコンサルタントとともに事業目標を共有し、問題点や課題が何かを議論します。通常、事業目標は、取り組む事業活動領域、達成期日、目標数値が入った形で、以下のように提示されます。

  • グループ会社のデータ活用による顧客ニーズの予測精度を2022年までに20%向上
  • IoT、データ分析、スピード重視のIT近代化で2022年までにコスト削減15%を達成
  • 研究、顧客データを生かした新規サービス事業の売り上げ7%成長を2023年までに達成

 これらの事業目標から、ビジネスコンサルタントは、顧客の重要課題が何かを把握します。これらの3つの事業目標であるデータ活用による予測精度向上、IT近代化、新規サービス事業の成長は、非常にざっくりまとめると「ビッグデータを軸にした事業推進の確立」です。このことから、ビッグデータ活用を重視、検討するというIT活用の「全社方針」が見えてきます。

 CIOから出た事業目標に対して、ビジネスコンサルタントは、課題を把握し、過去の経験や実績から、どのような方針で進め、何をやるのか、逆に何をやらないのか、妥当と思われるIT戦略と戦術について、CIOとIT部門長も交えながら検討を重ねます。

図1.CIOが掲げる具体的な事業目標とIT施策の方針 図1.CIOが掲げる具体的な事業目標とIT施策の方針
※クリックすると拡大画像が見られます

事業目標を提示したCIOは何を考えているのか?

 フットワークの軽いビジネスコンサルタントやシステムエンジニアは、初対面のCIOに対して、自身の経験からその場で詳細なシステム構成やAI(人工知能)アプリ入りのコンテナーを使った製品デモを見せることもあるかもしれません。しかし、事業課題を提示したCIOに対して、AIのデモ画面やシステム構成をその場ですぐに訴求したにもかかわらず、話が全くかみ合わないこともあります。それはなぜでしょうか。

 たしかに、その場で紹介したAIアプリが、解決策の一つになる可能性はあるかもしれませんが、CIOは、事業課題を提示した段階で、具体的なリスクや施策の方針の検討なく、すぐにその解決策を最終決定とすることを「リスク」と捉えます。多くのCIOは、先述の「ビッグデータを軸にした事業推進の確立」という事業目標を提示した時点で、具体的なコンテナー管理ソフトの画面の操作やAIの機能をチェックしたいわけではありません。この時、CIOは頭の中で全く異なる絵を描いています。例えば、以下が挙げられます。

  • どの業務で、どれくらいの効率化を達成でき、逆に非効率になる業務は何か
  • ビッグデータが利用できない障害が発生すると、どの業務にどのような影響が出るか
  • ビッグデータの施設外活用は法的に問題がないのか、または訴訟リスクはないか
  • 情報漏えい対策は、従来に比べて煩雑にならないか
  • ビッグデータ/AI活用の新規サービスビジネス展開の障壁は何か
  • ビッグデータ/AI活用による新規事業化は差別化になり得るのか

 CIOが投げ掛ける疑問は、当然、これだけではありません。中には、回答しようにも抽象的、あるいは不確実で答えにくい内容も当然あるでしょうが、ビジネスコンサルタントやシステムエンジニアには、迅速かつ正確で簡潔な回答が求められます。

 多くのCIOは、自分たちが向かうべき方向が正しいのかどうか、正しいと判断できる根拠はなにかを自身が納得し、確信を持ちたいと思っています。ビジネス価値、新規ビジネス創出、財務面でのリスク、進むべき方向の妥当性と障壁、成長に必要な能力、株主への説明責任など、視座を変えて事業推進を考えています。あらゆるリスクを想定し、ビジネス成長の方向性を見定める段階を経ることがCIOとの対話では重要であり、この時点でコンテナー管理ソフトやAIソフトの使い勝手を紹介しても、CIOの頭に描かれているこれらの絵に対する回答にはならないのです。

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