日本オラクルは、北海道富良野市が「IoT除排雪効率化実証実験」におけるデータ分析基盤に「Oracle Autonomous Data Warehouse」と「Oracle Analytics Cloud」を導入したと発表した。
同実証は、除排雪作業を可視化し、除排雪車両の走行ルートの最適化や、作業時間/コストの削減の作業効率化を行うことが目的。TIS北海道が共同参画し、2020年12月から2021年1月までの除排雪業務においてデータの収集/分析/可視化を行う。
両ソリューションについて同市は、低コストで高信頼性、セキュリティ、多機能を備えたクラウドデータ管理基盤として評価している。また、短期間で導入可能な点も採用の大きなポイントとなった。
Oracle Autonomous Data Warehouseは、データウェアハウスのプロビジョニング、構成、保護、チューニング、スケーリング、パッチ適用、バックアップ、修復を自動化し、マルチモデルデータ、分析SQL(Structured Query Language)、機械学習、グラフ、空間などの複数のワークロードを組み込みでサポートする機能を備えている。例えば、除排雪車両の走行ルートからの距離測定などには、空間分析機能を活用している。
Oracle Analytics Cloudは、インタラクティブダッシュボードの構築、オンラインレポート、高度な分析、予測のための機械学習アルゴリズムなどの機能を提供する。富良野市では、この実証実験の実施が決定してから1カ月でデータ分析基盤の構築を完了し、職員による利用を開始している。
実証では、2020年12月から2021年1月の期間、稼動する6台の除排雪車両にGPS(全地球測位システム)機能を持つ端末を設置し、IoTを活用して車両の走行データや職員の業務記録をリアルタイムで収集、それらのデータを地図やグラフで可視化することで除排雪作業の可視化を図る。
さらに期間中に収集した作業データに、市民からの問い合わせやフィードバック、気象データ、パトロールカーの出動記録などの関連データ、昨年以前の過去の業務実績などを合わせて相関的かつ総合的に分析する。これにより最適な走行ルートの割り出し、作業時間やコスト削減を図っていく。
年間降雪量が過去5年平均で550cmを超える富良野市では、市民が利用する生活道路の除排雪作業へのニーズが高く、大きな割合の予算を投じてその対応を行っている。その一方で、除排雪作業に関わる経験を持った人材の不足や除排雪車両維持/人件費などのコスト増加といった課題も生じている。
除排雪作業は、除排雪車両の操作を習得するだけでなく、その地域の道路や気象状況の把握といった知見も必要となる。また通常の除排雪作業は、通勤や通学に支障のないよう早朝からの短時間で行われるため、経験のある作業員による効率的な作業の実施が求められる。
同市は2021年1月末までデータを収集し、収集したデータと外部データなどを合わせた分析結果を除排雪作業の効率化に生かしていく。また、実証実験で得られた成果を基に他の地域との連携も強化し、除排雪事業のさらなる効率化を図っていくとともに、ゴミ収集車など他の業務車両運用効率化への応用を目指し、スマートモビリティーの実現を推進していく。