今回のサービスを医療崩壊回避のための施策に
以上が発表の概要だが、今回このサービスを取り上げたのは、新型コロナウイルスの感染拡大の第3波が押し寄せている今、医療現場の負担増で起こりつつある医療崩壊を回避するための施策になるのではないかと考えるからだ。
Ubieはまだ設立4年足らずのスタートアップだが、医師とエンジニアがタッグを組んだ「タスクフォース」というのが筆者の印象だ。従業員は2020年11月時点で90人。上記のように着実に実績も上げており、利用者から好評の声も上がっている。
今回のサービスについては同社も強い危機感を抱いており、提供開始の背景として発表文に次のように記している。
「現状において当社もさらなるサポートができないかと検討した結果、かかりつけ医であるクリニックへのアクセスを支援することにした。厚生労働省も、発熱などの新型コロナウイルス感染症疑いの症状がある場合は、まずクリニックへ電話相談するよう周知している。そこで、医療の入り口ともいえるクリニックの負担を減らしながら患者のアクセスを支援するため、速やかな現場の運用体制の構築が必要となる。こうした状況を踏まえ、これまで主に急性期病院で導入されていた当社のサービスを、クリニックへ提供していくことにした」
まさに今、速やかに求められる取り組みではないだろうか。
同社は今回のサービスについて、クリニックの現場ニーズに応える形で随時アップデートしていく予定だ。具体的には、経過観察機能などを速やかに検討し、開発を進めていくとしている。
さらに今後の展望として、図2に示すように、全ての医療の入り口となる「問診データ」を軸に、地域内での患者と医療機関の適切なマッチングを支援していく構えだ。興味深い構想である。

図2:今後の展望について(出典:Ubie)
本連載ではこれまで、スタートアップの技術やサービスについて殆ど取り上げてこなかったが、今後は社会や企業が必要とするユニークなものがあれば、積極的に紹介していきたい。