システムエンジニアリングサービス

エンジニアのスキルシートと活用方法について--SES分科会

橋田博明 (ONE WEDGE)

2021-02-19 07:00

 新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の中でもあるため、2021年1月に開催した第83回の「システムエンジニアリングサービス(SES)分科会」はオンラインで実施しました。最近ではオンラインでの開催もだいぶ慣れてきたところです。

 第1部では「スキルシート作成講座」として、SES事業を展開するLEVELSの竹中氏からエンジニアのスキルシートを作成する際の注意点やポイントなど、ご自身の経験をもとに講義していただきました。第2部では「エンジニアのスキルシート活用について」を議題にして、クライアント企業に提示する際の工夫や課題などを話し合いました。

エンジニアのスキルシート活用

 クライアント企業に必ずといっていいほど提示する機会の多いエンジニアのスキルシート。特にSESでの業務依頼に関する検討材料として参考にされるケースばかりです。 エンジニアが実際にクライアント企業の担当者と打ち合わせする際にもスキルシートに沿って会話する流れがスタンダードとなっており、営業担当者や会社単位で工夫している点や課題・悩みがありました。まとめた内容は次の通りになります。

  • スキルシートの作成者
    エンジニア社員本人が作成するという声が多かったです。営業担当と上長で添削し、良い内容にするケースがほとんどとなりますが、今回の講義を聞いた上でのディスカッションだったため、営業担当者が介入・対応することに納得されている方もいらっしゃいました。
  • スキルシートのフォーマット
    各社それぞれで統一性がない状況であり、ばらばらで見にくかったり、他社とフォーマットがかぶっていたり、書式でどこの企業の社員か分かったりするといった声も挙がっていました。いっそのこと業界で標準規格を作ってはどうかなどの意見もあったので、組合としても今後検討していきたい内容だと感じています。
  • スキル以外の記載内容
    人物アピールの記載で「努力家です」などのよく使うキーワードではなく、表現を工夫して記載するようにしている方がいました。例えば、自宅でサーバーを組み立てて勉強しているといった具体的なエピソードを記載しているそうです。
  • フリーランスエンジニアのスキルシート
    若いエンジニアは経験も少ないため、どうしてもスキルが低く見られがちといいます。記載方法やフォーマットは基本的に自由なため、希望する業界や業種、対応するポジションなどの詳細をヒアリングし、修正するよう工夫しているようです。
  • 打ち合わせ(顔合わせ)での整合性
    SES業務の初回打ち合わせでは、クライアント企業がエンジニアのスキルシートを事前に確認してからとなるケースが多いです。そのため、業務概要をきっちりと確認し、スキルシートから想定される質問を営業担当者の立場でエンジニア本人に前もって伝え、回答を考慮しておいてもらうように対応しています。
  • 未経験者や経験の浅いエンジニアのスキルシート
    アルバイトや他業種での経験内容も含め、現在のエンジニア業務につながるような内容を網羅するなどの工夫されていました。特にクライアント企業との打ち合わせ(顔合わせ)時にアピールできるよう自己紹介の練習をさせているという声は多かったです。
  • 数値化/グラフ化で対応
    スキル/経験などを数値やグラフで可視化する工夫をしています。
  • コミュニケーション能力の補足
    スキルシートだけでは、エンジニアのコミュニケーション能力が伝わらないため、性格診断の結果を添付するという意見もありました。診断結果をクライアント企業に提出することで、会話が弾むこともあるかもしれないですね。
  •  その他では、使用経験のある機器のバージョンが記載されていないスキルシートが多いため、エンジニア本人に追記してもらうなど、細かく確認している方もいました。

     箇条書きにするのかどうかはケースバイケースで、アレンジすることが大事なのではないかと意見が分かれる部分もありました。

     また対応可能なプログラミング言語の一覧表を作成し、「◎」「〇」「△」などの記号で表現している方もいました。記号の定義が曖昧なら経験年数を明記する方がよい場合もあるといった意見もありました。

     このように、スキルシートのさまざまな活用方法が出てきました。中には、スキルシートを読むだけで自己PRにもなるようにしているなど、実践的な取り組みもありました。また、(1)打ち合わせ(顔合わせ)に進むためのツール、(2)発注をいただくためのツール、(3)契約金額を少しでも高くするためのツール、(4)エンジニアが話しやすくするためのツール、として考えているという本質的な話もありました。

     エンジニアのスキルシートに関しては、今後もさまざまな活用や手法が出てくると感じられました。エンジニアによるYouTubeへの動画投稿を実践している企業も既にあるようですので、あらゆる角度で人材のアピールに広がっていくのも楽しみに一つです。

    オンライン開催となったシステムエンジニアリングサービス(SES)分科会の参加者
    オンライン開催となったシステムエンジニアリングサービス(SES)分科会の参加者

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