電話やメールなどのコミュニケーション関連機能を提供するクラウドサービス(Communications Platform as a Service:CPaaS)のTwilio Japanは3月18日、コロナ禍におけるデジタルコミュニケーションの変化を浮き彫りにする「顧客エンゲージメント現状分析 2021」の調査結果を発表した。米国や日本など9カ国の500~2万5000人の従業員を雇用する2500人以上の意思決定者を対象に調査した。
調査では、国内企業が新たにコミュニケーションツールを導入する期間が72日から36日と約半分に短縮した一方で、平均52%の国内企業が前年比でデジタルトランスフォーメーション(DX)の投資を拡大すると回答している(グローバル平均は48%)。
Twilio Japan 代表執行役員 社長 今野芳弘氏
代表執行役員 社長 今野芳弘氏は「われわれは国内市場に対して、DXにおける顧客コミュニケーションエンゲージメントの再考や、コミュニケーションチャネルの最適化、汎用ツールで競争力を得られるのか再検討してほしい」と調査結果にコメントを寄せた。
デジタルでの顧客エンゲージメントは重要に
コロナ禍で個人幸福の価値や企業の事業継続性が大きく変化する中で、今野氏は「国内企業は優れた製品に焦点を当てているが、成功している海外企業は顧客体験を重要視してきた。両者が組み合わさることで顧客忠誠度や利用継続の拡大につながる」と指摘する。
CPaaSの市場需要や各企業におけるデジタル化の推進状況、国単位の差異を把握するためにイタリア、オーストラリア、シンガポール、スペイン、ドイツ、フランス、英国、米国、そして日本の企業で意思決定に携わる2500人の責任者を対象に調査した。
日本を含むアジア太平洋地域の意思決定層は、顧客とのコミュニケーションをデジタル化しない弊害として、「顧客の期待に応えられなくなる(48%)」「競争力を失う(45%)」「収益が減少(44%。n=825)」が上位回答として並ぶ。中でも国内企業に限定するとコミュニケーションツール数の維持、もしくは増加を希望する組織は97%にのぼる。
また、今後1年で導入したいコミュニケーションツールを問うと、「ライブチャット(34%)」「ウェブベースのチャットボット(30%)」「双方向的なIVR(自動音声応答、28%)」「アプリケーション内チャット(28%)」「アプリケーション内通話(28%)」が上位に並んだ。
DXへの投資拡大意識として国内企業がグローバル平均値を上回る点について今野氏は「コロナ禍をきっかけに投資額を増加させた」企業が多いと推察する。なお、グローバルの調査結果を見ると、コロナ禍がクラウド移行を加速させたと考える意思決定層は92%、コロナ禍収束後もコミュニケーションツールの追加もしくは維持を希望する組織は95%におよぶ。