3年間で改善提案の数は倍増

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kintoneを導入したことで、さまざまなグラフを簡単に作れるようになった。kintoneのスペースに、様々な経営指標のグラフを貼り付けたダッシュボードは、さながら河口氏の目指すコックピットのようだ。
把握したい評価指標(KPI)が決まると、データの入力方法も柔軟に変えていくそう。例えば、都道府県別の何かの情報を見る場合は、住所を入力する際に都道府県で一度切らないと集計できないからだ。
売り上げや商品、従業員、車両、問い合わせなど、業務に関するさまざまな情報を一目で把握できるようになった。しかも、従来は寺本氏に依頼してからしばらく待つ必要があったが、kintoneならリアルタイムに最新の情報に触れられる。
さらに、社内での情報共有にも役立っている。ある日、コールセンターから増員するように要望が出てきた。人の手が足りなくて対応仕切れないというのだ。そこで河口氏はグラフをチェックした。
時々、平均よりも多くの問い合わせが来ることがあるが、ほとんどの日は問題ないレベル。この2~3日のために増員すると、人件費が加算されるので目標問い合わせ件数も増加。そのためには広告を打つ予算も必要になってくる。そこで河口氏は、その2~3日は電話を取りきれなくても仕方がない、と伝えたそう。
普通に指示すると、社長はケチだ、となりそうなところだが、kintoneを見せて説明すれば、みんな納得するので不満も出ないとのこと。経営者として見習いたいポイントだ。
当初のkintoneは寺本氏が中心となって作成していたが、何か改善してほしいことがあればなんでも言ってもらえる仕組みを作った。そして、その業務改善提案を出してくれた数を集計し、積極的に書き込んでくれた社員をランキング表示した。すると、さらにやる気が出て、kintoneの利用が活発化したそう。
3年前に取材した時は寄せられた改善提案の数は700件くらいだったのだが、今回の取材時(2021年2月)に最新画面を見せてもらったところ、1484件と倍増していた。もちろん、すべて対応できたわけではないだろうが、この6年間で膨大なシステム改善が実現している。しかも現場が求めるように変化しているので、利活用度もどんどん向上していることだろう。

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kintoneは経営指標の確認だけでなく、現場の業務にも活用している。コールセンターの会話は録音されるようになっており、音声ファイルはストレージサービスの「Dropbox Business」に保存し、そのリンクがkintoneアプリに自動で登録される。万一の対応の他、社内でのノウハウの共有やトレーニングにも活用している。
エアコンを分解、洗浄している工場では、kintoneとバーコードを組み合わせている。担当者が工程や製品コード、作業のステータスなどを紙にメモして、後でkintoneに入力していたがミスが多発。そこで、バーコードを使いその場で入力できるようにしたところ、ミスがなくなり流れ作業が可能になった。