エアコン取り付けを依頼している業者との連絡にも活用
元気でんきは中古エアコンを買い取るとともに販売しており、全国で売れるようになった。消費者としては、エアコンを買っただけではどうしようもなく、取り付けてもらわなければならない。そこで、4年ほど前までは全国の業者に依頼し、取り付けをお願いしていた。
しかし、買ってもらった顧客から、度々クレームが寄せられるようになった。依頼した職人の腕が悪かったり、顧客とコミュニケーションが取れず、トラブルが発生したりしたのだ。もちろん、謝罪するのは元気でんき。その上、中古エアコンだからダメ、というレッテルを貼られてしまうのは本意ではない。そこで、工事はすべて止めて、商品販売だけに集中することにした。
とは言え、顧客には取り付けてほしいというニーズがある。そこで河口氏は「でんきの学校」という事業をスタートした。2日間みっちりエアコンの取り付け方を学ぶものだ。もちろん、有料だが、日程を出すとすぐに埋まってしまうほどの人気ぶり。このご時世、職人の技を身につけてしっかりと稼ぎたいと考えている人が多いようだ。
「多数の受講者の中から我々の基準を上回るような人たちを兵庫県丹波にある研修センターにお呼びして、30日間の合宿研修を行うこともしています。そして、研修を終えた方たちには、我々からお仕事を依頼するようになっています」(河口氏)

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つまり、クレームを起こさないレベルの職人を自分たちで育て上げるようにしたのだ。そのため、徐々に対応エリアが増え、現在では東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県、京都府、広島県、岡山県にまで広がってきた。
元気でんきは名古屋にあるので、この全国の職人と密に情報を共有する必要がある。そこで活躍するのがkintoneだ。「作業報告・現場写真」アプリを作り、施工前、施工中、施工後の写真を複数枚アップロードしてもらうようにしたのだ。
そのおかげで、顧客にしっかりと報告ができるし、万一施工に問題があっても、すぐに判断することができる。このおかげで、広い範囲の取り付け工事を請け負うことになっても、きちんとサービスを提供できるようになった。

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もはや元気でんきにとってkintoneは基幹システムとしてインフラになっている。あらゆるところでkintoneアプリが活躍しており、しかも細かく改善されている。
現在は、kintoneに情報を登録できるウェブフォーム「フォームブリッジ」の導入を検討しているという。
エアコンを買い取る際、顧客に振込先を教えてもらうが、現在は紙に書いてもらっているそう。この手間をkintoneに移行して、業務効率化を図る狙いだ。
さらに、協力業者が施工の情報を報告するためだけにkintoneアカウントを契約するのではなく、フォームブリッジで写真などをアップロードできるかどうかも検討中しているという。
今後もkintoneを活用し、「業界を変えるくらいの凄いことをやるつもりです」と河口氏は語る。徹底的にkintoneを使い倒し、経営にも業務改善にも活用する元気でんき。羨ましいほどの導入成功事例だが、中小企業が真似できそうな部分も多いはずだ。ぜひ、参考にしてほしい。