担当者は「モデルに変数として取り込める可能性を検討したところ、インターネットチャネルのページアクセス数と検索サイトの検索ワード推移、同業他社の四半期報告書テキストデータ、外部経済指標などを検証した結果、『同業他社決算資料テキストデータ利用モデル』と『Google Trends時系列受注データ利用モデル』」と2種類のテストモデル完成に至ったと説明した。
同業他社の決算資料テキストデータをGoogleの自然言語処理エンジンである「BERT」に独自データを追加して感情分析したところ、「アルミパーツを用いた自動車(製造企業)の四半期報告書分析結果が当社と関連性があることが分かった」(担当者)という。
Google Trends時系列受注データ利用モデルでは、弱学習学習器を逐次的に構築する「XGBoost」を使用し、2020年12月と2021年1月のデータから2021年2月の日時受注額を予測。担当者は「決定係数0.5以上を有用と判断すれば、調査した50モデル中17モデルがこの方式で受注予測モデルとして利用可能」だと説明した。
「仮に予測に沿って発注した場合、マスクは約3000万円、手袋は約6000万円の発注金額を抑制できた。年単位で見れば10.9億円の金額効果を見込める」(担当者)

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同プロジェクトは今後2種類のモデル拡張を目指しており、同業他社決算資料テキストデータに決算数値データや外部経済指標を追加。Google Trends時系列受注データ利用モデルも直近2カ月のデータ期間を延長し、季節変動やECサイトアクセス数なども加えていく。
荷量データを最適化する「最適運行ダイヤ作成システム」
運送事業がメインのユーネットランス(愛知県豊田市、従業員数501人)は陸送や海運の荷量を最適化する「最適運行ダイヤ作成システム」の開発プロジェクトに取り組んでいる。現在は第2過程に進み、「サブツールの使用シミュレーション導入準備や顧客への理解活動、追加投資による効率化最適化評価スキームの検討構築」(担当者)段階だ。
ここでいうサブツールとは、CSV形式の荷量データを与えることで最適化済みの車載イメージとパレタイズイメージを出力する積み付け最適化計算ツールを指す。同社は「手動調整やツールのカスタマイズが必要ながらも、意図するイメージの出力が可能であることは分かった」と語る。