AIセキュリティのダークトレース、国内売り上げを倍増へ

國谷武史 (編集部)

2021-05-20 14:08

 ダークトレース・ジャパンは5月20日、新たな事業方針と新サービスの「Cyber AI Analyst」の提供を発表した。今後1年間で売り上げを現在の2倍にするという。

 ダークトレースは、2013年に英国の諜報機関出身者らが設立。ケンブリッジ大学での教師なし機械学習技術の研究開発の成果を導入し、人間の免疫系をコンセプトとしてサイバーセキュリティ上の脅威の検知、分析、防衛などで人工知能(AI)で自動化するソリューション「Darktrace Immune System」を展開している。

ダークトレース・ジャパン カントリーマネージャーの鈴木真氏
ダークトレース・ジャパン カントリーマネージャーの鈴木真氏

 同社では、2020年11月に、旧シマンテックやデル・テクノロジーズで営業部門などを統括した鈴木真氏が就任した。英国本社が2021年4月30日にロンドン証券取引所へ上場しており、この一環で日本法人の事業体制も増強、5月に本格始動させた。国内顧客への製品導入は、日本法人を設立した2016年からの約5年間で120社以上という状況にある。実績を踏まえて鈴木氏は、日本市場における同社ビジネスの潜在的な可能性はさらに高いとし、パートナーとの協業体制の強化を売り上げ拡大策の中心に置く。

 具体的には、パートナー専任営業部隊を新設してパートナー数を現在の2倍に増やす。それぞれのパートナーの強みとダークトレースのセキュリティサービスを組み合わせたソリューションのバリエーションを拡充する。共同マーケティングの展開も強化し、日本向けのトレーニング提供も拡充していく。この他に、直販営業体制も強化する。製品導入が完了した後に顧客を長期サポートする「カスタマーサクセスマネージャー」も新設し、既に2人の担当者を獲得した。

日本法人の事業体制策
日本法人の事業体制策

 併せて提供開始を発表したCyber AI Analystサービスは、セキュリティ人材不足の解消支援を目的に、AIセキュリティ人材の提供をコンセプトにしている。Darktrace Immune Systemでは、導入組織のネットワーク機器のミラポートに接続した専用機器で収集するデータをAIで分析し、平時のIT環境の状態をモデル化する。監視によってモデルと異なる状況を検知し、分析、防御、対応を行う。Cyber AI Analystはこのうち分析の機能を担う。

Cyber AI Analystサービスの概要
Cyber AI Analystサービスの概要

 鈴木氏によれば、3年ほどを費やし、同社に所属する約100人のセキュリティアナリストの脅威分析やレポート作成などの業務の仕方を解析し、AIによる自動化サービスとして開発した。脅威分析から経営役員会に提出する報告レポート作成までの時間を92%短縮できるという。

Cyber AI Analystサービスでのレポート画面
Cyber AI Analystサービスでのレポート画面

 このサービスは、ディストリビューターのジェイズ・コミュニケーションとS&J経由で提供され、顧客には導入に向けた機器設置と情報収集(1週間)、結果分析と報告会(計3回)の概念実証の機会を用意する。

 この他に、3次元型可視化インターフェース「Threat Visualizer」の日本語版も提供するなど製品・サービスの日本向け展開を強化し、今後1年で売り上げを倍増させるとしている。

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