Appleは米国時間6月7日に開幕した開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)2021」で、「Object Capture」をはじめとする新たなAPIのほか、「Swift」での並行性サポートや、ワークフローをシンプルにする「Xcode Cloud」などを発表している。
Appleは、「App Store」の立ち上げ以来、開発者に2300億ドル(約25兆2000億円)を支払っており、クリエーターらに向けてさらなるマーケティングツールを提供するための機能をApp Storeに追加していくと述べている。Epic Gamesなどの企業は、「App Store」とそれによる収益の分配方法を批判している。そのような状況の中で、今回の開発者向けツールが発表された。
開発者ツールはWWDC 2021のセッションで詳細が説明されるが、Appleは7日、以下のように紹介した。
- Object Captureを利用することで、開発者は2次元の写真を元に、わずかな時間で3Dのオブジェクトを生成できるようになる。「macOS Monterey」では、「iPad」や「iPhone」で撮影した写真を「Cinema 4D」にインポートし、その場で拡張現実(AR)のプレビューを生成できる。Object Captureは「RealityKit 2」で採用される。
- Appleのプログラミング言語Swiftで並行性がサポートされる。これにより、ユーザーの入力に反応しながら、バックグラウンドで動作するアプリの開発が可能になる。また並行性をサポートすることで、開発者はマルチコアプロセスの利点を引き出せるようになる。さらに「SwiftUI」により、ローコードツールを用いたユーザーインターフェース(UI)開発が強化される。
- Xcode Cloudによって、クラウドでワークフローツールを起動できるようになる。アプリケーションのビルドをクラウド内で自動的に実行できるため、開発者のMacをほかのタスクのために使うことができる。クラウド内で並列テストを実行するため、すべてのAppleデバイスのシミュレーション版でテストを行い、その後アプリケーションのビルドを内部テスト用に簡単に展開したり、容易に問題を発見、修正し、テストすることができる。これは、アプリをビルド、テスト、配布する際に、開発者がツールを使い分ける必要なく実行できるようにするという考えに基づいている。Xcode Cloudは「Xcode 13」に組み込まれる。
- 「アプリケーション内イベント」と「カスタムプロダクトページ」によって、開発者はユーザーへの訴求力を高め、ユーザーとの接点を強化できるようになる。また、App Store内でアプリのイベントを告知できるようになる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。